【豊橋新アリーナ】解約事由で事業者と隔たり 市議会質疑で見えた認識の違い

2025/03/11 00:00(公開)
解約まで長期化も予想される新アリーナ事業の工事事務所=豊橋公園で

 豊橋公園の多目的屋内施設(新アリーナ)と公園東側エリア事業は、事業者への契約解除に向けた協議申し入れから動きのないまま3カ月余りが過ぎた。市側の申し入れに事業者は「契約解除事由が発生していない」との見解を示しているからだ。長坂尚登市長は機密保持を理由に多くを明かさないが、12月と今月の議会で協議が始まっていないことが改めて分かった。

 

 新アリーナ計画の特定事業者「豊橋ネクストパーク」には、長坂市長が就任して間もない11月17日に協議申し入れの手続きを指示した。

 

 市議会3月定例会では5日の代表質問で、小原昌子氏(自民)がその後の進展状況を尋ねた。市側の説明では11月21日に事業者へ申し入れ、すべての業務を一時中止するよう通知した。

 

 一方、事業者は11月27日付で契約解除の事由が発生していないとする文書を返信。協議の議題や業務中止要請の根拠を求めた。市は2月6日付で協議の議題や候補日などとともに、改めて解除事由が発生している認識を文書で示した。

 

 小林憲生氏(自民)は、入札説明書時にリスク対応などの質疑をまとめた個別対話結果を踏まえ、市事由の契約解除の要件の一つ「災害やそれに準じる非常事態」について尋ねた。

 

解除事由の「非常事態」定義は明かさず  情報公開請求で該当文書なし

 

 12月議会での小林氏の質問で該当する「災害」は発生していないことが分かった。6日の質疑で小林氏は、国の定義を基に戦争やテロ、内乱やパンデミックなどを非常事態に挙げた。その上で市の想定をただしたが、長坂市長は「すべて事業者とのやり取りは機密保持に当たる」と明確な答弁を控えた。小林氏の情報公開請求では、文書でのやり取りが存在しないとも明らかになった。

 

 事業者との協議に基づく「約定解除」のほかに想定される民法上の「法定解除」については、約定解除の損失補償のような上限額はないと想定される。

 

 小林氏は「裁判が長引けば豊橋公園は使えず老朽化施設も修繕できない。損害賠償額は大幅に膨らむが市民のためになるといえるか」と質問。これに長坂市長は、一般論と断った上で「市民がそれを望む場合なら」と答弁した。

新アリーナ完成予想図(豊橋市提供)
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加藤広宣

愛知県田原市出身。高校卒業後、大学と社会人(専門紙)時代の10年間を東京都内で過ごす。2001年入社後は経済を振り出しに田原市、豊川市を担当。20年に6年ぶりの職場復帰後、豊橋市政や経済を中心に分野関係なく取材。22年から三遠ネオフェニックスも担当する。静かな図書館や喫茶店(カフェ)で過ごすことを好むが、店内で仕事をして雰囲気をぶち壊して心を痛めることもしばしば。

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