豊橋総合動植物公園(のんほいパーク)は16日、絶滅危惧種「アカモズ」の保全活動で、天敵などの影響で巣に残された卵から9羽のひなを人工的に育てることに成功したと発表した。2026年にも地域絶滅が予測される中の大きな成果で、将来の野生復帰を目指す。
動植物公園が人間環境大学、保全活動団体「長野アカモズ保全研究グループ」と2023年から共同で続けている取り組み。今年、本州唯一の生息地である長野県内で43のつがいのアカモズを確認した。外敵の影響などで親鳥が放棄した巣から37個の卵を保護し、動植物公園で人工ふ化と育雛(いくすう)をした結果、9羽が元気に育った。
また、アカモズの野生復帰に向けた試験として、近縁種のモズを使った試験放鳥も長野県内で実施した。放鳥したモズが野生で定着したことも確認された。今後は、アカモズでの試験を公園内でも実施する予定だ。
昨年育てたアカモズ同士をペアにする飼育下繁殖にも取り組んだが、今年は繁殖には至らなかったという。公園は、今年の知見を生かして来年以降も挑戦を続けるとしている。
アカモズは国内のみで繁殖し、東南アジアで越冬する渡り鳥。本州の個体群については2022年時点で確認されたつがいはわずか45だった。環境省レッドリストの絶滅危惧ⅠBに指定され、26年にも地域絶滅が予測される。
豊橋総合動植物公園などによる保全活動の成果は今年5月に豊橋市で開かれた日本動物園水族館協会(JAZA)の通常総会で発表された。
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1967年三重県生まれ。名古屋大学卒業後、毎日新聞社入社。編集デスク、学生新聞編集長を経て2020年退社。同年東愛知新聞入社、こよなく猫を愛し、地域猫活動の普及のための記事を数多く手掛ける。他に先の大戦に詳しい。遠距離通勤中。
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