蒲郡市観光協会は三谷温泉の旅館「平野屋」などと連携し、市内の飲食店や旅館、ホテル向けに新素材を使ったメニューとして未利用魚から作った「だしスープ」を開発した。9月29日、市内の飲食店関係者を招き、試食会を「平野屋」で開いた。
協会は、市が積極的に取り組む循環経済をまちづくりに取り入れた都市「サーキュラーシティ」実現に共感し、西浦漁港に停泊する沖合底引き網漁船でとれたが、未利用になってしまう魚を活用しようと考えていた。
そんなおり、JTB協定旅館連盟中部支部連合会の役員を務める平野屋の平野寛幸社長から、JTBが農林水産省の料理人顕彰制度「料理マスターズ」受賞者らと協力し、地元食材を生かしたレシピ開発の事業に取り組んでいることを教えてもらった。
平野社長の仲介で福島県いわき市のフレンチトレストラン「HAGI」の萩春明シェフと縁ができた。話を聞いた萩シェフは、未利用となっていたスミクイウオやユメカサゴなどの魚を煮込んでうまみを抽出して作ったスープのレシピを考案した。
試食会では温めただしスープや、平野屋の神谷昇次料理長がレシピを参考に作ったカレーライスのほかに、三谷漁協と蒲郡漁協でつくる「市漁業振興協議会」が取り組む養殖カキを提供した。
カキは市内の水産業に持続可能性をもたらすため、2023年度から協議会と市などと連携して養殖を始めた。現在は徳島県の事業者の指導を受けながら、28年度の漁業権の獲得に向け、実験的な養殖を続けている。
参加した飲食店関係者ら40人は、平野社長からスープ開発の経緯と、協議会の小林俊雄会長らの養殖カキを始めたきっかけの説明を受けた後、それぞれの料理を試食した。カレーライスやスープを通してスミクイウオなどのうまみと風味を感じたり、養殖カキの食感や味を楽しんだりしながら、自身の店でも提供できるのかなどを検討した。
西浦町で飲食店を経営する喜多恒介さんは「カレーはそのままルーだけでも食べられ、カキもちょうど良い大きさでどれもおいしかった」と好評だった。
平野社長は「観光業と漁業が連携しながら、新たな蒲郡の魅力発信につなげていきたい」と述べた。小林会長は「確実にカキ養殖の事業化ができるよう、取り組んでいきます」と話した。
市観光協会専務理事の高井知明さんは「試食会を通して課題も見つけることができた。共有して検討していきたい」と語った。
今後はカレーライスをはじめ、チャーハンやブイヤベースなど、スープを利用した各種メニューの愛称を公募し、市内外の飲食店や宿泊施設で積極的に取り入れてもらうよう取り組むとしている。
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愛知県蒲郡市生まれ。2020年、地元蒲郡が好きで東愛知新聞社に入社。同年から蒲郡担当、市政や地域行事、文化など全般を取材。ドローンを使って東三河の名所を空撮したルポ「大二朗記者の空からの訪問」を不定期連載。これまで、三河大島や三河国分尼寺跡、日出の石門などを空撮してきた。ドローン技術向上のため、国家資格「一等無人航空機操縦士」を24年に取得。読者の皆さんが楽しんでもらえる記事と記憶に残る写真を掲載できるよう、日々、頑張っていきます。
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