ちょんまげ姿がトレードマークの落語家立川志の八さんが東海道五十三次の旧宿場町で落語を披露する旅を続けている。31番目となる湖西市の旧新居宿では20日、志の八さんが立ち寄った「小松楼まちづくり交流館」で一席設け、観覧者を楽しませた。
志の八さんは2000年5月に立川流の立川志の輔さんに入門し17年に真打ちに昇進した。芸歴25周年を迎えたのに合わせ「自分らしいイベントをしたい」と考え、直接会ってコミュニケーションを築く「東海道中膝瓜毛」を企画した。ちょんまげを結い、旅装束で東京・日本橋を今月1日に出発、京都・三条大橋を目指して旧東海道を歩いている。宿場町が最も多い静岡県には9日に入った。
20日の寄席は地元の落語愛好家らに相談・協力を得て実現した。会場に設けられた高座に上がった志の八さんは「楽しいのは楽しいがどこまで行っても静岡県。履いていたわらじが10足ぐらい壊れた」などと道中を振り返った。掛川市の日坂を歩いた際には時代が変わっても「(歌川広重が浮世絵に)描かれている通りだなと思った」とも語った。
ちょんまげは、新型コロナウイルス禍の行動制限を機に伸ばした髪で結うようになったという。志の八さんは「ちょんまげは絶滅危惧種のイリオモテヤマネコよりも危惧種。ちょんまげを見たら声を掛けてほしい」などと笑いを誘った。
この日の演目は、嫉妬をテーマにした「悋気(りんき)の独楽(こま)」。本妻と妾のどちらの元に行くかを主人がこまを回して決めている騒動を描く。観客は登場人物や場面に合わせた話芸に魅せられていた。終演後、「まさに志の輔師匠の口調だった」などとの声も聞かれた。
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