【連載】籔内の学生紹介ファイル〈18〉 海の生き物から自己探求 水族館を内省の場に|鳥山大輝さん(三重大2年)

2026/04/16 00:00(公開)
鳥山さん
鳥山さん

 東三河で地域活性化や独自のプロジェクトに取り組む学生が増えてきている。注目しているのが、三重大学生物資源学部海洋生物学コース2年の鳥山大輝さんだ。水族館を舞台に、海の生き物から自己探求や人生の哲学を深める新しいサービスの創出を目指す活動を紹介する。

 

 鳥山さんのプロジェクトの核は「海の生き物の生きざまや生存戦略を通じて、自分の人生を見つめ直す」というこれまでにない水族館の楽しみ方の提案だ。このユニークな着想の背景には、自身の原体験がある。愛媛県出身で、大学受験での挫折を機に「学歴とは何か、自分が本当にやりたいことは何か」と深く悩んだ時期があった。この経験から、同じように進路や人生に「モヤモヤ」を抱える学生たちの自己探求をサポートしたいと考えるようになった。「6歳の時に行った水族館で、ジンベエザメの水槽の裏側を見た記憶が鮮明に残っていました。その後『水族館哲学』という本に出会い、ただ『かわいい』『すごい』だけで終わらない、内省の場としての水族館の可能性に気づいたのです」と鳥山さんは振り返る。

 

 構想を形にするため、鳥山さんは蒲郡市の竹島水族館をフィールドにプレツアーを実施した。大変なことも多かった。熱意が先行するあまり、事前の連絡や企画書作りといった基本的な段取りが不十分で、指摘されることもあったという。その経験も鳥山さんは自身の成長の糧として前向きに捉えている。

 

 そうした苦労の一方で、プレツアーでは確かな手応えも得た。参加した人たちから「水族館の見方が本当に変わった」「別の水族館に行っても見方が違って面白かった」と笑顔で伝えられたのだ。「誰かの笑顔が、自分自身を笑顔にしてくれるんだと実感しました。人生に迷っている人たちが内省し、人生観をゆ揺さぶられる場を提供したいという思いがより強くなりました」と語る。

 

 今後の展望について「夏休みまでに、水族館の方々とヒアリングを重ね、お客さんや水族館のニーズに応えられるサービスを、一つのプロジェクトとして完成させたい」と意気込む。

 

 挫折を原動力に変え、社会の厳しさに触れながらまっすぐに進む鳥山さん。東三河を拠点にした挑戦は、これからも多くの人の心を揺さぶり、新たな気づきを与えていくことだろう。

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籔内龍介(やぶうち・りゅうすけ)

Lirem創業者。2000年1月11日生まれ。山口県宇部市出身。2020年3月、宇部工業高等専門学校を卒業、同年4月、豊橋技術科学大学3年で編入、在学中の2021年10月にLiremを設立して代表取締役に就任。現在は起業家支援事業や事業会社のイノベーション促進に向けた研修プログラムを提供する。「火―Okoshi」も運営する。

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