【連載】愛知学院大尋木准教授の東三河と国際法〈13〉 企業と市民の脱炭素力①

2026/05/25 00:00(公開)
蒲郡の土砂災害
蒲郡の土砂災害

■「地球沸騰化」社会に生きる

 

 地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した(グテーレス国連事務総長)。平成後期は数百人だった熱中症による死者数は、令和に入ると1桁上がり、令和6年には2000人を超えた。1500人前後で推移する火災の死者数と比べても、その多さが際立つ。今年4月には、40度以上を指す気象用語として、「酷暑日」が採用された。

 

■気候変動の被害

 

 気候変動の被害は、暑さにとどまらない。ゲリラ豪雨や線状降水帯という用語を耳にする回数が増え、台風や洪水の激甚災害も常態化している。2024年8月に蒲郡市で発生した土砂災害も記憶に新しい。農作物や水産資源にも変化が表れ(連載第10回アサリとカキの好循環参照)、伊勢が主産地だったイセエビ漁は、東北地方で隠れたブームとなっている。

 

 海面上昇により、東三河の沿海部にある工場や農地も、浸水するおそれがある。世界中で発生するこうした被害は、物流の不安定化をもたらし、経済安全保障上も問題となっている。

 

■対策意識向上の障壁

 

 こうした被害に鑑みると、気温上昇への対応は、企業・市民を問わず喫緊の課題といえる。しかし実際には、中小企業や市民の対策意識は、必ずしも高いとはいえない。その理由は、まず気候変動の影響が、徐々にかつ断続的に現れるため、危機として実感しにくい点にある。

 

 さらに「地球沸騰化」や「酷暑日」とは対照的に、難解な専門用語が多いことも理由と考えられる。「FSBのTCFDが、ISSBのIFRS S2に代替された」と聞いて、理解できる人は少ない。専門家の伝え方にも、環境対策が進まない原因がある。こうした状況を踏まえ、本連載ではできる限り平易な言葉で解説していきたい。

 

■企業による排出量の測定

 

 気候変動の緩和(排出削減)と適応(被害対策)のため、東三河地方では、豊川流域一体型のプロジェクトが行政主導で展開されている(連載第12回豊川流域一体型の脱炭素計画)。一方で、温室効果ガスは企業活動から多く排出されており、企業にも大きな社会的責任がある。

 

 代表的な温室効果ガスは、燃焼により発生する二酸化炭素である。製造業のボイラーや運送業のガソリンの使用等は、二酸化炭素を「直接排出」し、その他の企業も火力発電等の電力使用により「間接排出」している。まずは、この直接・間接の排出量を把握することが、気候変動対策の出発点となる=表。

気候変動の基礎知識
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