豊橋市の60代の女性ら4人が、近くの公的施設で猫の捕獲作業を続けている。ここは年度内の廃止が決まっている。犬猫などの持ち込みは禁止されているが、こっそり餌をやっていた人たちが猫を捨てていくケースが相次いでいるためだ。
女性によると、猫がうろうろしていることが気になっていたという。姉と何度も様子を見に行った。外国籍の男性が餌やりをしているのを目撃したこともある。「そのままにしておこうかと思ったこともあった」と振り返る。だが結局、子猫が生まれる前にと、捕獲と不妊・去勢手術に踏み切ることになった。
3月上旬から聞き込みと情報提供の要請、カメラの設置によって、何匹の猫がいるのかを調べ始めた。十数匹が屋外にいることが分かった。捕獲のために餌やりをしないよう求める張り紙をしたうえで、同19日からスタートした。初日だけで6匹を捕まえて手術した。
問題は保護する場所だった。公的施設はその後、取り壊されるため、手術後の猫を戻すTNRMはできない。他の場所に連れて行ったら動物愛護法の遺棄罪になる。
捕獲作業に協力していた動物福祉団体「命にやさしいまちづくり ハーツ」の古橋幸子さんが探し回った結果、篤志家の男性が事務所の1部屋をシェルターとして使わせてくれることになった。十数個のケージが置かれており、猫が中で暮らしている。男性が大工仕事でキャットウオークを造ってくれた。
保護された猫はさまざまだ。人を見ると鳴き続ける3匹は元飼い猫だろうか。ずっとうずくまり、近づくと怒る猫もいる。耳がなくなってしまった白茶の雄、大けがでしっぽを切断したキジ猫もいる。過酷な環境で暮らしていたらしい。最終的には13匹になる見込み。
女性は「今回の活動がうまくいき、猫で困ったら、自分たち住民で動けばいいんだ、ということがもっと広まってほしい。(今回は違うが)地域猫活動のチラシが回覧板で回るようになって、住民の理解が進んでほしい」と話した。当地では普及が遅れている「住民主体の地域猫活動」のモデルケースになる可能性もある。
公的施設の担当者は「猫の捕獲を認めたのは、あくまでも特別なケース」と説明した。一方、市動物愛護センター「あいくる」の担当者は、猫の捕獲や不妊去勢手術をしなかったことについて「公的施設が取り壊されると、猫がそこで生活できなくなる。そうするとボランティア団体が保護し、譲渡先を探すことになる。地域にいる猫を一代で終わらせるという地域猫の趣旨からは少し外れてしまうため」と述べた。
購読残数: / 本
1967年三重県生まれ。名古屋大学卒業後、毎日新聞社入社。編集デスク、学生新聞編集長を経て2020年退社。同年東愛知新聞入社、こよなく猫を愛し、地域猫活動の普及のための記事を数多く手掛ける。他に先の大戦に詳しい。遠距離通勤中。
週間ランキング
日付で探す