豊橋技術科学大学は、人間が物体の材質を見分ける際に、頭や手をどのように動かして情報を得ているかを仮想現実(VR)を用いて解明したと発表した。研究は、情報・知能工学系の田村秀希准教授らのチームによるものだ。今年6月8日付の学術誌「Journal of Vision」に掲載された。
私たちは普段、表面の光沢や透明感などから物体が金属かガラスかを判断しているが、周囲の環境や見る角度によって見え方が似ていると、一度見ただけでは区別が難しいことがある。宝石を鑑定する際に見る角度を変えるように、人間は無意識のうちに視点を変えて材質の手がかりを探していると考えられる。そこで研究チームは、コンピューターグラフィックス(CG)で作られた金属からガラスまで連続的に変化する物体をVR空間に用意し、参加者がそれをどのように観察して材質を判断するかを調べる実験を行った。
実験の結果、金属ともガラスとも区別がつきにくい曖昧な材質であるほど、参加者は頭を動かして視点を変えたり、手で物体を大きく回転させたりと、積極的に動かして観察することが分かった。また、複数の物体を見比べる状況では頭を動かすことが効果的であり、一つの物体だけをじっくり観察する場合は手で動かすことが有効であるなど、その場の状況に応じて観察方法を柔軟に切り替えていることも明らかになった。
研究の筆頭著者である大学院博士前期課程2年の野町竜さんは、私たちがただ目に入った画像を処理しているだけでなく、判断が難しいときには自ら必要な情報を探しにいっていると指摘し、そうした日常的な行動が材質を見分けるうえで重要な役割を果たしていると述べている。
この「自ら見に行く」という能動的な仕組みが明らかになったことで、将来的にVRや拡張現実(AR)におけるよりリアルな映像表現の実現につながることが期待される。さらに、人間の探索行動を人工知能(AI)やロボットに組み込むことで、機械がより正確に物体を認識する技術などへの応用も見込まれている。
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1967年三重県生まれ。名古屋大学卒業後、毎日新聞社入社。編集デスク、学生新聞編集長を経て2020年退社。同年東愛知新聞入社、こよなく猫を愛し、地域猫活動の普及のための記事を数多く手掛ける。他に先の大戦に詳しい。遠距離通勤中。
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