豊橋で成岡さんら座繰りの技を披露

2016/11/20 00:01(公開)
玉繭から糸を取る白井さん㊧、成岡さん(隣り)=豊橋市中部地区市民館で
 豊橋を全国有数の製糸の町に発展させた女性起業家・小淵しち(1847-1929年)が考案した座繰りによる玉糸製糸の技を、かつて製糸工場に勤めていた成岡靖子さん(80)=豊橋市前田南町=が19日、同市中部地区市民館で実演した。同様に糸取りをしていた女性も訪れて披露。来場者は2人の伝統の技に目を見張った。
 しちの波乱の人生を描いた演劇を制作、上演した市民団体「ひとすじの会」(宮下孫太朗会長)が、明治から昭和の時代にかけて栄えた豊橋の製糸業と、しちを知ってもらうため演劇の短編版DVD鑑賞と併せて実施した。
 成岡さんは44年間、自宅近くで操業していた浅井製糸に勤務し、工場で一番腕の立つ「一等工女」だった。1997(平成9)に辞めて以降、座って糸を取る座繰り機を操ることはほとんどなかった。
 この日は、同じ勤め先で機械の保守などを担当していた夫の久男さん(81)と一緒に座繰りによる玉糸製糸を披露。市美術博物館が保管する座繰り機を使い、湯の中に浮かんだ玉繭から糸をたぐり、光沢のある糸を紡いだ。
 会場には、市内にあった別の大林製糸に勤めていた白井茂さん(89)=西羽田町=と深井須磨子さん(82)=東橋良町=の姿も。白井さんが座繰り機の前に座り、かつて競技会で日本一に輝いた玉糸製糸の腕前を見せた。
 糸取りから遠ざかっていたとは言え、2人とも伝統の技は健在。成岡さんは「きょうは緊張しました。今後も手伝える機会があれば協力したい」と笑顔を見せ、40年間勤めていた白井さんも「懐かしくてね。久しぶりで楽しかった」と喜んでいた。
(中村晋也)
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