静岡県熱海市で今月3日に発生した土石流災害現場では、東三河から派遣された消防隊員や中部地方整備局職員たちが活動を続けている。第1陣として派遣され、帰還した職員たちが14日、現地の様子を報告した。13日夜現在で死者11人、行方不明者17人。再び土石流が発生する危険がある中、懸命の捜索が続いている。
【山田一晶、林大二朗】
豊橋河川事務所の渡邊さん
国土交通省中部地方整備局豊橋河川事務所からは、渡邊大記さん(29)がTEC-FORCEのドローン班の一員として現地で情報収集した。
渡邊さんは、中部地整局にいる10人の「ドローンマイスター」の1人。4日、出動を求められ、5日に本局の3人と合流して現地に向かった。初めての災害派遣だ。
初日は先遣隊からの引き継ぎと翌日のフライトプランづくり。土石流発生の様子は繰り返しテレビでも流れていた。
そして6日は、土石流の始点となった「源頭部上流」に向かった。山体が流出し、道路が寸断されている。バリケードがあり、その手前でドローンを飛ばした。空からの映像を見ると、山の断面がむき出しになっていた。「初めて見る光景で、元の状態が想像できなかった」と振り返る。
悪天候でドローンが飛ばせなかった日を除き計4日間、土石流被害のあった4カ所でドローンを飛ばし、映像を収集した。拠点の熱海土木事務所に戻ると、その日のうちに映像を編集し、必要な画像を共有した。
土石流の下流部では、押し潰された民家も初めて目にした。また、安全確保のために、断面のひび割れを日々撮影し、2度目の土石流の警戒にあたったほか、今後の派遣隊員向けに、安全マニュアル作りを続けた。
渡邊さんは「自分の動画を見ると、カメラワークもまだまだ。初めての出動で指示されたままに動いたが、今後は自分で考えて判断し、意見を具申できるようになりたい」と話した。
中消防署高度救助隊5人が市長へ帰還報告
豊橋市消防本部から被災地に派遣されていた中消防署高度救助隊の5人が任務を終えて帰還し、14日、浅井由崇市長に活動の様子を報告した。
県内の自治体で構成する緊急消防援助隊県大隊の救助小隊として派遣されたのは、隊長で市消防司令の清水昇さん(49)、消防司令補の大竹徹八さん(44)、消防士長の都築伸崇さん(30)、消防士の岩本峻史さん(28)と中田寛之さん(23)。10日から、東京消防庁と県大隊の各消防本部と連携し、行方不明者の捜索活動にあたった。
ドローンで撮影した熱海市の土石流の始点部分(提供)
救助活動する豊橋市の消防隊員(提供)