鳳来山東照宮「黒漆金銅装宮殿」を県文化財に

2022/01/24 00:00(公開)
県有形文化財に指定される「黒漆金銅装宮殿」(いずれも提供)
県有形文化財に指定される「黒漆金銅装宮殿」(いずれも提供)
 県文化財保護審議会は、28日付で鳳来山東照宮(新城市門谷)にある「黒漆金銅装宮殿(くろうるしこんどうそうくうでん)」など7件を新たに県文化財に指定すると発表した。宮殿は江戸城から移したとする社伝がある。市内の東照宮関係者は「日光と久能山と鳳来山が日本三大東照宮と呼ばれる。幕府との関係が裏付けられた」と話している。
 指定される黒漆金銅装宮殿は「東照権現像」(徳川家康像)を納めるために江戸初期に造られた。高さ約2・2㍍。社伝によると、1651(慶安4)年に社殿が完成する前に、江戸城の東照宮のものを移したとある。本殿内にあり、非公開となっている。
 宮殿は木造、入母屋造、妻入、木瓦ぶきで、総体に黒漆を塗り、金銅製飾り金具が打たれている。宮殿に施された金具の三葉葵紋が、鳳来山東照宮本殿にある紋様と異なっていること、大きさが本殿内側の扉と不釣り合いになっていることから、本殿より相対的に古い製作時期であることをうかがわせるという。このため「江戸城の紅葉山東照宮から移設されたという社伝は信ぴょう性高い」と判断された。
 また、江戸初期の荘厳な霊廟(れいびょう)の典型を示しており「現存する東照宮関係の宮殿、建造物の中でも非常に早い作例」などと評価している。県文化材保護審議会が昨年6月から現地調査をしていた。
 鳳来山東照宮は、徳川3代将軍家光が祖父の家康をまつるために造営を計画した。1953年に本殿、拝殿、幣殿、中門、水屋、左右透塀が国の重要文化財に指定された。
 市設楽原歴史資料館の湯浅大司館長は「限られたものにしか使われない紋様が宮殿に施されていた。江戸にあったものを移したことが裏付けられた。貴重なものだ」と話した。
 鳳来山東照宮の鈴木道人宮司は「建物内に納められた品は文化財指定されていなかった。三大東照宮といわれる証しにもなる」と語った。
 来年はNHK大河ドラマ「どうする家康」が放映される。徳川家にゆかりある場所として、新たな歴史的価値が高まり、観光客増加も期待される。
【安藤聡】
宮殿を納める鳳来山東照宮本殿
宮殿を納める鳳来山東照宮本殿
続きを読む

購読残数: / 本

この記事は登録会員限定です
この記事は有料購読者限定記事です。
別途お申し込みをお勧めします。
最新記事

日付で探す

光生会 藤城建設 虹の森 蒲郡信用金庫 さわらび会 住まいLOVE不動産
hadato 肌を知る。キレイが分かる。 豊橋法律事務所 ザ・スタイルディクショナリー 全国郷土紙連合 穂の国