豊橋・表浜の津波被害減へ一層の対策求める

2022/03/11 00:00(公開)
夏には大勢のサーファーが訪れる表浜海岸
夏には大勢のサーファーが訪れる表浜海岸
一部団体から「不十分」の声

 東日本大震災から11日で11年。豊橋市内の表浜海岸はサーファーや釣り人らが訪れる人気スポットだ。南海トラフ地震が発生した場合、津波被害が懸念されている。一部団体から「対策が不十分なのでは」と懸念の声が出ている。
 豊橋市によると、南海トラフ地震が発生した場合、表浜海岸には過去最大モデルでは津波が最短7分で到達し、最大高は6・9㍍と予測されている。また理論上最大想定モデルでは、津波が最短4分で到達し最大高は19㍍としている。
 市は防災無線を設置しており、巨大地震が発生した場合、サイレンを鳴らし、サーファーや釣り人に警告する。また看板を各地に設置し、津波の危険性を伝える。年に1度、避難訓練をしている。このほか、海岸にいる人が車の発煙筒を使って海にいるサーファーに地震発生を知らせる地域のローカルルールの浸透を目指している。
 表浜海岸の地形は独特だ。海岸近くまで崖が迫っており、砂浜から少し移動すると高台になる。このため、周辺には津波被害を受けると予測される住宅は1軒もない。唯一、高齢者福祉施設があるだけだ。市は、防災対策に多くの税金を投入することに難しい現状がある。
 約1㌔間隔で海岸から崖の上へ移動できる道路がある。海岸の環境保全をしている市民団体「表浜ネットワーク」は「海岸近くは地盤が弱く、地震で道路が崩壊して使えなくなる可能性がある」と指摘する。対策として自ら海岸から高台まで走って移動できる新たな避難路を建設している。
 事務局長の田中美奈子さんは「道路が崩壊したら逃げられないサーファーや釣り人が出る」と懸念する。さらにサーファーの中には土地勘のない人もおり、「避難するにも時間がかかることが予想される」と話す。市に対して「予算的に新たな避難路を建設するのは難しいと感じる。せめて表浜海岸の津波の危険や地盤が弱い独特の地形であることを詳しく知らせる看板を数多く設置してほしい」と訴える。
 また表浜でよくサーフィンを楽しむ男性は、啓発活動の実施を要望する。「サーファーが多く訪れる土日に啓発チラシを配れば一定の効果が出ると思う。避難訓練も年に1度ではなく定期的に開催し、できれば土日に実施してほしい。そうすれば参加しやすい」と話す。
【竹下貴信】
表浜ネットワークが作った避難路
表浜ネットワークが作った避難路
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