94歳の加藤さん 豊橋で「回顧展」

2022/11/11 00:02(公開)
回顧展を開いた加藤さん=ミューズで
回顧展を開いた加藤さん=ミューズで
 今年94歳を迎えた豊橋市東光町の「かな刻作家」加藤独善さんによる「回顧展」が、三ノ輪町4の「アートサロン ミューズ」で開かれている。15年余りの作家活動を振り返るとともに、今後も制作にまい進する意気込みをみせる。13日まで。
 2001年から独学で篆刻(てんこく)を学んだ。09年からは都々逸を勉強し、同人誌などで発表してきた。季節の移ろいや自身の思い出、恋愛模様などを題材に詠んだ都々逸を7・5㌢四方の石二つに彫り分け、印影を凝った和紙で額装し個展やグループ展で発表を続ける。
 今年5月から8月にかけて体調を崩したが、復調したことから回顧展を思い立った。5~6年前の作品を中心に気に入っている篆刻作品20点を披露した。また、昨年末から始めたという絵も2点発表した。
 「吉で嬉しい古梅に結び砂利の響きも心地よし」「髪のほつれをさらりと梳(す)いて紅でニンマリ誰と逢う」「小雨ふる夜は人待ち恋し小窓たたくは風ばかり」といった色っぽさの漂う自作の都々逸を彫った作品、いろは48字を1字ずつ押印して額装した作品、彼岸花の花の絵と花言葉を彫った作品など、思い入れある力作が並んだ。
 絵は墨と水彩絵の具を使用。寝転ぶ女性や「風の盆」を題材に独特のタッチと色彩で仕上げた華やかな作品は、加藤さんが詠む都々逸の世界に通じるものがある。
 「個展を開いてよかった。体調不良で制作を中断していた人が鑑賞し、『勇気をもらった』と個展を決意してくれた」とのうれしい出来事もあったという。「毎日会場にいるので、分からないことは聞いてほしい。今後は絵に力を入れたい」と力強く話した。
【田中博子】
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