豊川市の人口が東三河の自治体では唯一、わずかながら増えている。その背景を探った。
2020年の国勢調査によると、前回(15年)に比べ、東三河の自治体で人口が増加したのは豊川市だけだった。市が発表する人口速報によると、今年年4月1日現在は18万4158人。前年同時期比で362人増えた。2013年の18万970人を底に、微増傾向が続いている。
人口増につながる要因は、鉄道の駅が多い▽官民あげて雇用増に尽力している▽区画整理を戦後から継続して続けている-など、さまざまな点が相乗効果を生んでいるとみられる。
鉄道駅でみると、市内には東海道線、飯田線、名鉄名古屋本線、同豊川線が通っている。豊川、牛久保、国府、諏訪町など計19駅がある。人口が2倍の豊橋市は豊橋鉄道市内線を入れても30駅にとどまる。駅を基点に住宅地が広がる傾向があり、豊川はまちを形成するポテンシャルが高いといえる。
雇用を増やすための企業誘致にも力を注ぐ。来春にはイオンモール豊川がオープン。パートを中心に3000人の雇用が新たに生まれる。さらに自動車部品製造「津田工業」が刈谷市から本社を移転する。移転に伴い、豊川市へ引っ越す人がおり、人口増につながる。工業用地の造成もしている。従業員30人以上の事業所は、19年に151カ所。5年前(14年)に比べて27カ所増えた。
区画整理も戦後から続く。住宅地が広がり続ける。現在は豊川西部、豊川駅東、豊川宿伊奈の3地区が整理中。民間の宅地造成も盛んで、イオンモール豊川の近くに大和ハウス工業が97区画の分譲を進めている。
このほか、子育て支援施策の充実▽2カ所ある高速道路のインターチェンジ▽店が多い▽気候が温暖-など、利便性が良く、住みやすいことが人口増に貢献している。
市によると年間で1900人が亡くなり、1400人が生まれており、500人の自然減。市は「自然減を社会増でカバーするしかない。さまざまな政策を通し、多くの皆さんに豊川市に住んでもらえるよう尽力している」と話す。
【竹下貴信】