「オサガメの甲羅」はく製化に成功

2024/04/14 00:00(公開)
オサガメのはく製と骨格標本の保存に成功した安井さん=豊橋市自然史博物館で
豊橋市自然史博物館の安井さんが全国でも珍しく

 豊橋市自然史博物館の安井謙介主任学芸員(脊椎動物担当)が、地球上最大のウミガメ「オサガメ」の甲羅のはく製化に成功した。薄く柔らかい甲羅の加工は難しく、死後腐敗も激しいため全国的にもはく製の保存は珍しいという。同館で13日に始まった企画展の会場で展示している。
 熱帯や温帯の外洋に生息し、大きい個体で体長2・5㍍超、甲羅は長さ1・8㍍に上る。餌のクラゲを求めて1000㍍超の深海に潜るため、水圧に耐えられるよう甲羅は柔らかい。陸上にあがると死後腐敗で激しく変形するなど標本資料での保存が難しい。
 自然史博物館のオサガメは2021年10月、田原市小塩津町の海岸にあがった個体。体長1・8㍍、甲羅は長さ1・45㍍、幅90㌢だった。海岸を保全する市民団体「あかばね塾」の連絡で、腐敗が進む前のいい状態で採集できた。
 安井さんによると、死骸の漂着は5年に1度ぐらい。さらに甲羅や骨は薄く弾力があり、骨が柔らかく、はく製や骨格標本として加工するのも難しい。専門業者もオサガメを扱うのは初挑戦だったという。
 今後は生態研究とともに、ほかのウミガメとの骨格や形状の違いなどを比較研究する資料に生かすという。
 安井さんは「これまで腐敗が進んだ死骸にしか出合えなかった。今回はあまりの鮮度のよさに興奮した。付近の住民や保全団体の素早い対応が保存につながった」と協力に感謝した。
 企画展では、岩石鉱物や昆虫、植物などの新蔵資料約50点とともに研究成果を紹介する。6月2日まで、月曜休館。
【加藤広宣】
大人の胴体をすっぽり覆う巨大な甲羅(提供)
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