豊橋市文化財センターは1日、豊橋球場跡の発掘調査について現地説明会を開いた。豊橋公園で市が計画する新アリーナ建設予定地。近世の武家屋敷の区割りや古代の地方役所に関連する遺構や出土品などを紹介した。歴史ファンのほか、新アリーナ計画への関心もあって、午前と午後の2回で普段より多い約550人が参加した。
豊橋公園付近には、近世の吉田城址や古代の飽海(あくみ)遺跡が分布している。今回は昨年4月からグラウンド約6900平方㍍を対象に調査した結果を報告した。
近世の層からは17世紀後半の「裏袋小路」を確認した。表袋小路と食い違いに折れ、北へ延びる道路沿いに屋敷が並んでいたという。「三州吉田城図」「吉田藩屋敷図」などの史料にも描かれている。改造を重ねた当時の池にあった導水遺構から庭園の一部とみている。庭園遺構の発見は三河では初。
古代の層で井戸1基がみつかり、井戸から墨書土器や水滴、すずりなどが多く出土した。8世紀の地方役所「渥美郡衙(ぐんが)」を裏付ける遺構と考えられる。
市文化財センターの岩原剛所長によると、遺構や出土品は記録と保管で対応するという。
史跡などで現状保存すべきだという意見も一部にあるが「飽海遺跡や吉田城跡の一部で、通常通りの記録と保管が妥当と思う。史跡で残すには、周辺の住宅街も対象に含まれるため現実的とは言えない」と説明した。
豊橋球場の発掘はグラウンド部分に続き、解体するスタンドなど周辺施設付近の調査が予定されていた。昨年11月の市長選で新アリーナ計画中止を掲げる長坂尚登氏が当選し、球場解体工事は中断されている。
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愛知県田原市出身。高校卒業後、大学と社会人(専門紙)時代の10年間を東京都内で過ごす。2001年入社後は経済を振り出しに田原市、豊川市を担当。20年に6年ぶりの職場復帰後、豊橋市政や経済を中心に分野関係なく取材。22年から三遠ネオフェニックスも担当する。静かな図書館や喫茶店(カフェ)で過ごすことを好むが、店内で仕事をして雰囲気をぶち壊して心を痛めることもしばしば。
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