豊橋市役所から日々、さまざまなプレスリリースが出ているが、今年度は市立磯辺小学校からのものが突出していることが気になっていた。学校によるとその数60本超。日々の取り組みをニュースリリースや学校ブログでPRしている。稲田恒久校長が自ら書き、積極的に取材を受け入れている。どのような狙いなのか、話を聞いた。
磯辺小が「コミュニティ・スクール」(CS)制度の先行導入校になったのは2023年度。学校運営協議会を設置した学校のことだ。校長ら教職員、PTA、保護者、校区自治会、地域住民、学校支援ボランティアなどで協議会をつくり、情報を共有し、学校活動を評価分析し、地域一体となった特色ある学校づくりに生かす。
磯辺小の学校協議会は、CS導入前から根付いていた地域教材、地域人材を生かした教育活動を、学校と地域で協働することで推進、発展、継承することを目指している。取り組みはさまざま。
地域でキャベツを育てる彦坂年亮さんの畑を児童が訪れたり、その指導で児童がキャベツの苗植えに挑戦したりしておいしいキャベツづくりに挑戦する「磯辺のキャベツ調査隊」がその一例。「穂の国豊橋ハーフマラソン」の「小学生800㍍競争」に出場する児童の応援企画ランニング教室「グリーンランナーズ」などもそうだ。県立豊橋南高校陸上部員だったアスリートを講師に招いた。
こうした取り組みをニュースリリースとしてメディアに伝えている稲田校長。24年度は計66本を出した。狙いを「取り組みを地域の人に広く知ってもらうことで、より参加しやすくすることにある」と説明する。「学校が何をやっているのか、子どもの健全育成に関わるにはどうしていくのがいいのか、さまざまな形で情報と、ウェルカムな気持ちを伝えたい」と話した。
周知活動の必要性を強く感じたのは、八町小学校の教頭時代、すべての授業を英語のみでする「イマージョン教育」プログラムの立ち上げに関わった時だという。「違う授業の学び方をする学級が入ってくる。学校づくりは地域の協力なしには成り立たないと感じた。地域に理解があれば子どもたちも伸びるし、学校経営の面でも非常に助かる。学校にとって大きな力になる」と述べた。
CSの成果は、年度末に実施する学校評価アンケートの児童回答にも表れている。「楽しく学校に通っている」は93・7%で前年度から5ポイント増。「学校での勉強がわかりやすい」は87・5%で同20ポイント増になった。「文部科学省の検証では、地域の人が多く教育活動に携わると、子どもの学力が伸びるというデータがある。CSが学力を伸ばす面で効果があることを実感している」と述べた。
将来的にはこうした取り組みのアイデアをすべて実行に移し、無理せず持続可能なものを残していきたいという。「自分がいる間にとにかくやってみて、これは楽しかったね、じゃあ子どものために続けていこう、ということがいくつか残っていけばいいと思っている」と語った。
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1988年生まれ。三重県津市出身。
地元で数年間地域紙の記者を務めた後、某ゲーム会社で企画の仕事などを経験。新型コロナウイルス禍で紆余曲折あって豊橋市で再び地域紙の記者に。地域の人に地域の良いニュースを伝えたい。
趣味は一口に言うとゲーム。著名なタイトルをすべて網羅しているわけではないが、コンシューマーはファミコン時代から「ドラゴンクエスト」などを親しんでいる。ジャンルは問わず、環境としてはオンライン、カード、ボード、テーブルトークなど手広くプレーしている。
好きなものは甘いもの。犬派。写真は実家の猫。
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