AI(人工知能)による客観情報を踏まえ、地域課題への理解向上と意思表示の有効性を探る実証実験が4日、豊橋市牛川町の豊橋創造大学であった。新アリーナ事業と住民投票について、前提条件となる正確な情報を理解し、AIのつくる仮想人物との議論を体験したりした。
この日は、辰巳智行准教授(社会学)の教養科目を受講する保健医療学部の学生72人が実証実験に協力した。名古屋工業大学の白松俊教授が開発する「議論シミュレータ」と、慶応大学SFC研究所の岩田崇上席所員が手掛けた世論調査システム「ポリネコ!」を組み合わせた。
「ポリネコ!」は地域課題などの背景や関連事項について、クイズと解説で理解を深める。判定機能「考えタイプ」によって賛否のほか、対話や政策決定への関与といった自身の意思表示の傾向なども分かる。システムが持つ世論調査や合意形成の機能を生かし、長野県千曲市では住民参加システムとして運用されている。
クイズでは市や市議会の公開情報、報道記事など客観的な事実やデータをAIが学習。市の将来人口や財政の現状、新アリーナの総事業費や収支予測、経済波及効果などを参考情報とともに紹介する。住民投票条例も踏まえ、市長がすべき対応や条例の成立過程も出題した。
続くアンケートで事業への賛否や、市の公開情報への満足度、行政と市民による協働の必要性などを質問。八つあるタイプに分類した。
「議論シミュレータ」では大規模言語モデルを使い、人間同士で議論する前に「仮想市民」を相手に練習する。「ポリネコ!」で積み上げた客観情報を前提として共有するため、SNSに散見される先入観や誤った情報に影響されず、積極的に異論や賛同などを意思表示できる環境とした。
市内在住の女子学生(18)は「アリーナ問題や住民投票は自宅で話題になるので知っていた。将来まちの発展につながる具体的な利点や、負担につながるという欠点など納得できる客観的な情報を市はもっと提供してほしい」と述べた。
大学によると受講生の約3割が豊橋市民で、授業前のアンケートでは全体の9割近くが新アリーナ問題や住民投票を知らなかったという。辰巳准教授は「アリーナ問題は判断材料となる情報がもっと必要だ。仮想人物との対話は、自分の考えと周囲の意見の違いに触れるいい機会だった」と語った。
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愛知県田原市出身。高校卒業後、大学と社会人(専門紙)時代の10年間を東京都内で過ごす。2001年入社後は経済を振り出しに田原市、豊川市を担当。20年に6年ぶりの職場復帰後、豊橋市政や経済を中心に分野関係なく取材。22年から三遠ネオフェニックスも担当する。静かな図書館や喫茶店(カフェ)で過ごすことを好むが、店内で仕事をして雰囲気をぶち壊して心を痛めることもしばしば。
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