豊川市は、豊川海軍工廠(こうしょう)空襲を題材にしたオリジナル絵本「あの八月七日」(A4版40㌻)を作った。戦時の様子を紹介する。
戦後80年を記念した。豊川海軍工廠平和公園のベンチに座るお年寄りに、手にする古い学生帽について子どもが質問するところから始まる。海軍工廠に学徒動員された兄がくれたもので、兄は空襲で亡くなったこと、父が兵隊になって遠くに行ったこと、小学生の高学年が竹やり訓練をしていたことなどがつづられる。工廠では海軍の船や飛行機で使う機銃や砲弾を作り、中学生や女性が朝から夜中まで交代で働いていたことも伝える。
空襲体験者など、戦争経験者の声をまとめて物語を作った。絵は生涯学習課の前川拓さん(33)が描いた。小学校低学年の子が読んでも分かりやすく、戦争や空襲の事実を伝えるようにした。前田さんは「工廠が爆撃され、多くの人が犠牲になったことを、絵本を通して知ってもらいたい」と話す。
工廠は「東洋一の兵器工場」を呼ばれていた。1939年に完成したが、45年8月7日の大空襲で壊滅し、多数の犠牲者が出た。この悲しい出来事が人々の記憶に残り、語り継がれてきた。2018年に当時の建物を一部残した平和公園が整備され、工廠の出来事を通して戦争の悲惨さと平和の尊さを伝えている。
1600円(税込み)で音羽庁舎の生涯学習課、桜ケ丘ミュージアム、平和交流館で販売している。図書館、市内の小学校に配る。15日から市のホームページで全編が閲覧できる。問い合わせは生涯学習課(0533・88・8035)へ。
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1973年生まれ、豊川市出身。建設業界に勤務後、96年に入社。2022年から豊川市を担当している。趣味は美術館巡り。ポッドキャストでラジオを聞くのも好きで、さまざまな番組を楽しんでいる。
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