人気沸騰の完熟イチジク、ふるさと納税サイトで部門1位 田原の天野さん

2025/08/23 00:00(公開)
ふるさと返礼品の出荷準備に追われる天野さん=田原市福江町で

 中小零細の事業者がインターネットを通じて新たな商機を求める中、田原市内では、ふるさと納税を生かした農産物などの販路拡大が実を結びつつある。同市福江町でイチジクを生産販売する天野亘さんも、2年前からふるさと納税の返礼品事業者に登録。普段の市場出荷とは違う完熟での提供が支持され、全国区の人気を誇る出品者となった。

 

 天野さんは碧南市のイチジク農家出身で、結婚を機に田原市で切り花生産者となった。イチジクへの転作は約20年前、実家のノウハウや栽培環境のよさから踏み切った。現在は近隣で栽培面積を約1・4㌶まで拡張。温室に採光性のよい特殊フィルムを張り、光の吸収効率を高めて高糖度な栽培を可能にした。

 

 3年前までJAを通じた市場出荷が大半だったが、ふるさと納税への出品以降、直販用に約1割を振り分けた。「完熟いちじく『極』無花果」は1箱(1㌔、9~12個)が寄付額1万6000円、2箱は同3万円だ。専門サイト「ふるさとチョイス」の商品レビューで星五つのうち4・8以上で「いちじく部門」の1位を保っている。

 

 直接取引を機に、完熟品の荷崩れ防止に梱包資材を特注、冷蔵配送のため家庭用の大型冷蔵庫を複数導入した。これらの発送手数料は市側が負担するという。

 

 天野さんは「産地の責任で市場出荷はやめられない。ネットでの直販は手をかけただけ利益にも反映できる。消費者の声や評価が直接伝わるのもやりがいにつながる。直販はあと1割程度増やせる余地がある。市場向けと均衡を保ちつつ、収益安定につなげたい」と見通しを示した。

工夫を重ねて現在の手法にたどり着いた
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加藤広宣

愛知県田原市出身。高校卒業後、大学と社会人(専門紙)時代の10年間を東京都内で過ごす。2001年入社後は経済を振り出しに田原市、豊川市を担当。20年に6年ぶりの職場復帰後、豊橋市政や経済を中心に分野関係なく取材。22年から三遠ネオフェニックスも担当する。静かな図書館や喫茶店(カフェ)で過ごすことを好むが、店内で仕事をして雰囲気をぶち壊して心を痛めることもしばしば。

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