豊橋カレーうどんのスタンプラリー全店を4周 きっかけは「だも豊」

2025/08/24 00:00(公開)
花とみどりのスポンサーとなったオルクスさん=豊橋動植物公園で

 豊橋カレーうどんスタンプラリーが始まって約4カ月。市内39店舗を4周した強者がいる。豊橋市在住の「オルクス」さんだ。豊橋総合動植物公園(のんほいパーク)の花とみどりのスポンサーとなったほか、「豊橋ケーブルネットワーク『ティーズ』」「エフエム豊橋」に出演するなど、カレーうどんの魅力を発信する活動を続けている。

 

 「豊橋カレーうどん」は、カレーうどんの下にとろろご飯を入れる独自のスタイルで2010年に誕生した。24年10月には累計250万食を突破した代表的な「ソウルフード」だ。

 

 スタンプラリーは、豊橋観光コンベンション協会と市内の事業者からなる「チーム華麗」が、誕生15周年を記念して企画した。参加者は豊橋カレーうどんを食べるごとにスタンプを集め、達成度に応じて景品がもらえる。豊橋市出身の佐野妙さん作のご当地漫画「だもんで豊橋が好きって言っとるじゃん!(だも豊)」とのコラボグッズとあって、ファンの間で大きな話題となっている。

 

 そのなかで異彩を放つのがオルクスさんだ。わずか数カ月で39店舗を4周し、計156杯を達成した。費やした金額は20万円近く。1日7杯食べたこともあった。「正直、金銭的にはきつかったが、ここまで来たらやるしかないと思った。佐野さんの景品が欲しいというのも大きな原動力となった」と笑う。

 

 オルクスさんはだも豊発売時からのファンだ。何気なく本屋で見かけ手に取ると、地元民しか知らないご当地ネタにはまった。新作が出ると、電子書籍と保存用の紙の単行本を欠かさず買うようになった。スタンプラリーはSNSで見かけた。「元自衛隊隊員で体力と食べることには自信がある。それに佐野先生の大ファン。自分のための企画だと思った」と笑う。

 

 1周目をわずか1週間ほどで達成した5月初旬、サプライズが起こった。「だも豊」作者の佐野さんから「スゲー!」と書かれたオリジナルのイラストが投稿されたのだ。「世界に一つだけ。自分のために描いてくれた。言葉にならないし、夢かと思った」と満面の笑みを浮かべた。

 

 39店舗のなかで印象に残る店は多い。同市西幸町の「鈴八庵」もその一つ。とろみのある自家製カレーの中央にウズラの生卵を落とし、揚げ餅を二つトッピング。麺の量が多く「普通盛りでもカレーがあふれそう。これが普通盛りかと驚いた」と印象を語る。7杯目に鈴八庵のカレーうどんを食べた日には「腹がはちきれそうで何とか食べた」と苦笑する。

 

 同市つつじが丘の「手打ち蕎麦処砂場」はSNSを通じて思わぬ縁も生まれた。オルクスさんを知っていた店員からスタンプ帳を見せて「あなたでしたか」と驚かれたり、「がっつり食べてくれてうれしい」と声を掛けられたりする場面もあった。

 

 当初は景品目当てだったが、「店によって全然違うので飽きないし、何よりおいしいから続けられた」とオルクスさん。次はカレーうどんの魅力を市内外に発信するため、6月下旬から「豊橋カレーうどん魔王軍」名義でのんほいパークの「花とみどりのスポンサー」になった。東門温水近くに一覧の看板が掲載されると聞き「動物園に訪れた人がカレーうどんを食べるきっかけになれば」と考えた。支援した花はビグノニア。花色や香りがカレーに似ていることから「カレーバイン」とも呼ばれるそうだ。

 

 スタンプラリーが終わった後も「カレーうどんだけでなく、そばやにかけうどんなど、どの店もおいしそうなメニューばかり。またちょこちょこ食べに行きたい」と話した。

鈴八庵のカレーうどん
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北川壱暉

 1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。

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