【若手起業家特集】“強みで戦う”キャリア論|Rin代表取締役社長 鶴田洋さん

2025/09/01 10:00(公開)
鶴田さん

 知立市出身、蒲郡市在住の鶴田洋さん。今年6月に、コーチングや生成AI導入支援、Webサイトの運営、コンサルティングなどを手掛ける「株式会社Rin」を設立、東三河で勢いに乗る事業者の一人だ。そんな鶴田さんの仕事を一言で表すと「人の可能性を見つけ可能性を広げる」こと。この仕事に出合ったきっかけや今後の目標に迫る。

 

青年時代――PCが教えてくれた自分らしさ

 

  鶴田さんの青年期、けっして優秀な人間ではなかった。自分のやりたいことがわからず。新聞配達から工場ライン、スーパーでの試食販売の手伝い、本屋の店員など10以上の職種を渡り歩いた。「正直やりたいことなんてなかった」「自分には何ができるのだろうか」と自問自答する日々が続いた。そんななか、対人の仕事が好きであたらしい技術に興味があり「パソコン」に夢中になった。今でこそ一家一台が当たり前だが、当時はまだ当たり前にパソコンがある時代ではなかった。貯金をはたいて購入し、ゲームをしたり、見よう見まねで自分でPCを作ってみたりしていた。

 

 しばらく経ってパソコンショップに就職し、販売員や自作PCの教室講師として活躍した。「知っていることを共有したり教えたりすることの楽しさに気づいた」と鶴田さん。販売員時代は、来店者の好みや求めていることに合わせてお勧めの商品を紹介したり、講師になってからはパソコンの使い方や機能を教えたりして、「助かった」「ありがとう」と受講者が笑顔で帰っていく姿を見ると、「自分らしさ」を発揮できているような気がした。人に知識を伝える醍醐味を知る一方、夜遅くまで働く過酷な環境に身を置き、転職を決意。2015年、エディオンへ移った時、真の可能性の芽が出始めた。

 

エディオン時代――人と向き合うのが「好き」だと確信

 

 エディオンでは、パソコン、テレビを経てリフォームの担当を経験。リフォーム部門では、人の要望を聞き希望を叶える商品を提案する能力を活かしエディオンのリフォーム事業で減点の個人売上がトップになることもあった。

 

その結果2019年にスーパーバイザーとしてリフォーム社員の育成に着手し、人材活用スキームの設計にも参画した。

自身のキャリアを振り返る鶴田さん

 だが、順風満帆には進まなかった。本部勤務に異動すると、仕事は分析やレポート作成に偏り、人と向き合う機会が激減。「得意な仕事ではなくて、正直つらかったですね」と回想する。転機は上司の交代とともに訪れた。現場復帰を果たし、「やっぱり自分は人と向き合う仕事が好きだ」と再確認した鶴田さん。自分の得意分野を思い出し、改めて突き進む決意を固めていく。

 

 現場に戻ってからの鶴田さんは自分自身だけでなく、1人1人に向き合い、より良いチーム作りを意識していった。1on1面談で、一人ひとりの「目指したい働き方」を対話で引き出すことで、得意を見出した。

 

 スタッフ1人1人の営業スタイルは多彩であり、例えば3ヶ月の3か月目で大口契約を取る人と、毎月コツコツ目標金額を地道に積み重ねる人─―どちらも正解だが、会社としては後者が目標達成者として評価されがちであった。だが鶴田さんは気づいた。

 

「人それぞれ得意な働き方がある。得意な働き方を活かすのが大事なのではないか」

 

 声の裏にある「本当に得意な働き方」に寄り添い、能力に最適な仕事を配置していった。

 

 2021年からはその経験が実を結び、マネジメントした店舗では全国全店で1位を複数回獲得し、再現性のある貢献と成果は目に見えて形になった。

 

  その実績もあり、2023年、エディオン横浜西口本店のリフォーム売り場立ち上げを任される。スタッフひとりひとりと1on1面談を繰り返し、その人の特性に合った役割を任せる。鶴田さんはこう述懐する。

 

「1人1人がいきいきとと仕事をすることが、チームにも会社にも良いと実感した」

 

エディオン退職から独立へ──人は対話と成長の中で変わる

 

 その頃、副業としてWebサイト運営も開始した。リフォームと仮想通貨という、まったく異なるジャンルのメディア運営を好奇心と行動力で継続していった。2023年からはより人に対しての理解と価値を提供しようと、認知科学とコーチングを本格的に学び始めた。自己理解を深め、「人は対話と成長の中で変わる」を体感したことで、コーチングこそが自分の得意だと確信をつかんだという。

 

 鶴田さんは言う。

 

「人生が変わる瞬間に立ち会えることが、この上ないやりがいだ」

 

 2024年10月、エディオンを退職し独立。名古屋の中小企業向けにAIセミナー講師として登壇、株式会社メイカヒットでプロコーチとして活動。さらに株式会社じげん(東京都港区)のコンサルタントに。2025年1月には「生成AIサミットVol.4」にて2位に入賞。2025年4月からは個人向けAIセミナー講師や企業顧問やコンサルタントとしても活動を展開している。

 

鶴田さんが講師を務めた「わかった気になれる!生成AI講座 中級編」(3月19日、emCAMPUS STUDIO)の詳細はこちら

「わかった気になれる!生成AI講座 中級編」(3月19日、emCAMPUS STUDIO)

未来――得意を伸ばす働き方で地域と地域をつなぐ

 

 現在、AI、コーチング、Webという3軸で企業や個人の「対人」「対話」「成長」を支える活動を続けている。具体的には地元企業と連携し、「伝え方講座」や「AI講座」などを計画中で、学生向けのプロジェクト作り&発表のイベント「火-Okoshi」に参画している。

 

「東三河に限定せず、地域と地域をつなぐ役割を果たしたい」と抱負を語る。

 

「苦手な事ではなく、自分の得意を伸ばす」考え方で多くの企業の相談を受け、顧問やコンサルタントとして活躍している。

 

 鶴田さんは最後に、こう語る。

 

「伝えたいのは一人ひとりには、それぞれの得意と苦手がある。得意が活きる環境を整えれば、成果は自然とついてくる。悩み続けるのでは無く、気軽に相談してほしい」

 

 「得意を人生の中心に置く」働き方は、自分自身を成長させ、人を育て、さらには地域や産業の成長にもつながると、鶴田さんの働き方から得られるヒントは多いのではないだろうか。

 

2025年7月18日、株式会社Rin東愛知新聞社は、相互の事業機会拡大を目的として、パートナー契約を締結いたしました。

 

 

■経歴

株式会社Rin代表

鶴田 洋 つるた ひろし

2015年より株式会社エディオンのリフォーム部門に従事

2015年から最大15名のチームをマネジメント

2019年度 エディオンリフォーム事業、個人売上全店実績1位を獲得

2019年より兼業でWebサイト運営を開始

2019年 スーパーバイザーとしてリフォーム社員の育成。リフォーム人材の活用スキーム作成

2021年〜 個々の強みを活かし全店1位を2回、2位を1回獲得

2023年 エディオン横浜西口本店リフォーム売り場の立ち上げ

2022年10月よりWebメディア会社でメディア統括として活動

2023年〜 認知科学を学び、マネジメントと営業スキルをさらに向上

2024年 mindsetcoachingAcademy(10期生)

2024年9月〜 株式会社メイカヒットにてプロコーチとして活動

2024年10月 エディオンを退社、独立

2024年10月〜 株式会社じげんのコンサルとして活動

2025年1月22日 オンラインイベント〜生成AIサミットVol.4 ~進化を続ける生成AIの最前線~にて、ピッチ登壇にで2位の実績

2025年1月〜 新規事業支援会社 新規事業コンサルタント

2025年4月〜 個人向け生成AIセミナー講師

続きを読む

購読残数: / 本

この記事は登録会員限定です
この記事は有料購読者限定記事です。
別途お申し込みをお勧めします。
最新記事

日付で探す

虹の森 蒲郡信用金庫 住まいLOVE不動産 光生会 さわらび会 藤城建設
hadato 肌を知る。キレイが分かる。 豊橋法律事務所 ザ・スタイルディクショナリー 全国郷土紙連合 穂の国