田原市博物館で企画展 渥美半島三大貝塚の出土品を紹介、100年ぶり里帰りの展示品も 11月末まで

2025/10/04 22:00(公開)
約100年ぶりに発掘の地へ里帰りした吉胡貝塚の出土品=田原市博物館で

 渥美半島の三大貝塚として知られる吉胡、伊川津、保美の各貝塚に関する100年余りの発掘成果を集めた企画展が、田原市博物館で4日から始まった。過去の発掘調査で出土した遺物や大量の人骨など約290件、1400点の資料を公開する予定。11月末まで。

 

 縄文期末から晩期にかけてできた各遺跡は、明治時代から続く発掘調査で大量の縄文人骨や装身具が出土した。貴重な発見も多く、日本の人類学や考古学の発展にも寄与した。

 今回は東京大学や京都大学が所蔵する調査資料を集めた。約100年ぶりに発掘された渥美半島へ「里帰り」した貴重な資料も展示する。

 

 吉胡貝塚出土資料(天理大学附属天理参考館所蔵)は、京都大学の清野謙次教授が1922~23年に行った発掘調査の出土品。300体超の人骨を発見して吉胡貝塚の名を広めた。50年に国の発掘調査第1号として、葬制や同年代の土器の成り立ちを知る成果につながった。

マッチョな縄文人で知られる保美貝塚出土の上腕骨
100年ぶりに発掘の地へ里帰りした吉胡貝塚の出土品

保美貝塚は「マッチョな縄文人」なども出土

 

 ほか、当時の腰飾りなどの装身具、近年発見された伊川津貝塚の叉状研歯頭骨、保美貝塚で出土した「日本一マッチョな縄文人骨」(ともに東大総合研究博物館所蔵)も並んだ。当時の保美貝塚付近は海に面した土地で、サヌカイトを輸送する舟を漕いだ男性の上腕骨が極端に発達したとされる。ほかの人骨と並べ、明らかに太さが際立っているのが分かる。

 

 また、人骨の状態で当時の暮らしぶりや時代背景も分かるという。石鏃で折られたり斧で殴られたりした傷や、食人風習とみられる解体された跡なども骨から判断できる。増山禎之学芸員は「当時すでに人類同士の戦闘があった痕跡もみられる」と説明した。

人骨の状態で暮らしぶりや時代背景も分かる

週末は講演会やワークショップも

 

 週末は関連イベントとして研究者の講演会などもある。第2会場の吉胡貝塚資料館では土器の洗浄や貝殻などを加工したアクセサリー作りなどのワークショップも開く。観覧料は博物館が700円(小中学生380円)、資料館は200円(同100円)。共通券800円(同400円)も発売中。月曜休館(祝日なら翌日)。問い合わせは博物館(0532・22・1720)へ。

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加藤広宣

愛知県田原市出身。高校卒業後、大学と社会人(専門紙)時代の10年間を東京都内で過ごす。2001年入社後は経済を振り出しに田原市、豊川市を担当。20年に6年ぶりの職場復帰後、豊橋市政や経済を中心に分野関係なく取材。22年から三遠ネオフェニックスも担当する。静かな図書館や喫茶店(カフェ)で過ごすことを好むが、店内で仕事をして雰囲気をぶち壊して心を痛めることもしばしば。

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