経営人事コンサルタント業「ビジネスリンク」(豊橋市広小路2)の社長、西川幸孝さんが、個人の業績評価に応じて次期の給与額そのものを変動させる新しい基本給算出プログラム「傾斜昇給システム『ターゲット方式』」を開発し、特許を取得した。賃金制度に関する特許は3件目。特に、高額な報酬で採用したものの期待した成果を出せないキャリア採用者の処遇問題など、企業が抱える人事課題の解決策として注目される。
多くの企業が抱える悩みの一つに、前職の給与などを基に高い報酬で採用した中途採用者が、入社後に期待通りの活躍を見せないケースがある。ビジネスリンクもこのような相談を数多く受けてきた。一度設定した給与を業績不振を理由に引き下げることは難しく、企業にとって大きな負担となっている。
従来の賃金制度では5段階評価の結果に応じて給与額を直接決定する「洗い替え方式」が知られている。この制度では、S評価なら来期は基本給額100万円、C評価なら70万円といったように、評価と給与額が直接的に連動する。「ニデック」(旧日本電産)で採用されたことがある。分かりやすい半面、評価の変動が大きいと給与も大きく上下し、社員のモチベーションに悪影響を与えることがある。
「ターゲット方式は、この課題に対する解決策の一つ。評価ごとに目標となる給与額(ターゲット額)をあらかじめ設定し、その数値を数期にわたり維持した場合、目標額へ段階的に到達するよう設計されている。
今回の特許は急激な変動を避ける「穏やかさ」が特徴だ。例えば、高評価だった社員がC評価を取っても、即座に給与が目標額まで下がるわけではなく、数年かけて緩やかに目標額に近づいていく。この調整期間は企業の裁量で設定可能だ。
西川さんは「ルールに基づいているので、結果として給与が下がる不利益変更であっても問題にならない」と話す。
給与の変動が大きいため、生活への影響を考慮し、ある程度給与水準の高い管理職や専門職、営業職など、成果を直接報酬に反映させやすい職種への適用を想定しているという。
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1967年三重県生まれ。名古屋大学卒業後、毎日新聞社入社。編集デスク、学生新聞編集長を経て2020年退社。同年東愛知新聞入社、こよなく猫を愛し、地域猫活動の普及のための記事を数多く手掛ける。他に先の大戦に詳しい。遠距離通勤中。
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