若者の平和意欲9割も継承には壁 ウクライナ侵攻が関心の契機に 戦後80年、愛知大生が意識調査

2026/05/08 00:00(公開)
「地域における戦争体験継承活動」の表紙
「地域における戦争体験継承活動」の表紙

 戦後80年の節目となった2025年、愛知大学文学部の樫村愛子教授に学ぶ学生が「大学生の戦争や平和への意識」に関する調査を実施した。本調査は同年10月に行われ、391人の回答データをもとに分析が行われた。若年層における戦争の記憶の継承や、平和に対する意識の実態を明らかにする内容となっている。

 

 調査結果から、若者の間に戦争体験の風化に対する強い危機感があることが判明した。約9割の学生が戦争体験の風化を危惧していると回答している。しかしその一方で、将来自身が戦争体験の語り継ぎの主体になってみたいかという問いに対しては、肯定的な回答は約3割にとどまった。多くの学生が記憶の風化を心配しつつも、自らが継承の担い手となることには難しさを感じている現状が示された。

 

 平和学習の手段については、学校の授業以外にメディアを通じて学ぶ姿が目立つ。校外での学習方法としては、映像の視聴や読書が多く挙げられ、現地へ赴くよりも自宅で学習できる手段がよく利用されている。また、修学旅行などで広島や長崎、沖縄の平和関連施設を訪れた経験を持つ学生も一定数いる一方で、家族や親族の中に戦争を体験した人がいないと答えた割合が、いると答えた割合をわずかに上回った。戦後80年が経過し、身近な体験者から直接話を聞く機会は減少しつつある。

 

 過去の戦争だけでなく、現代の国際紛争に対する若者の関心も高い。ウクライナで起きている戦争に対しては、全体の約7割が関心を持っていると回答した。開戦当時の2022年2月には回答者の多くが高校生であり、当時の報道が強く印象に残っていることが背景にあると推測されている。

 

 このように、学生たちは戦争の歴史と現代の課題の双方に目を向けている。「将来平和な社会をつくるために、役立つことをしたいか」という問いには約9割の学生が前向きに答えており、平和への貢献意欲は非常に高いことがうかがえる。戦争体験者が減少していく中で、若者のこうした高い意識をどのように実際の行動や社会への参加につなげていくかが、今後の課題だ。

 

 この調査は学部の報告書「地域における戦争体験継承活動」に収録されている。ほかに、学生による平和資料館や地域の博物館での調査、各種活動団体のインタビュー、教育機関への聞き取りなどで構成されている。

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山田一晶

1967年三重県生まれ。名古屋大学卒業後、毎日新聞社入社。編集デスク、学生新聞編集長を経て2020年退社。同年東愛知新聞入社、こよなく猫を愛し、地域猫活動の普及のための記事を数多く手掛ける。他に先の大戦に詳しい。遠距離通勤中。

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