新たな海外定期コンテナ航路が開設され、夏には海フェスタ東三河のメイン会場となった三河港。自動車輸入は金額、台数とも23年連続で日本一となった=豊橋市の同港神野地区で
東三河の経済は消費の停滞感、慢性的な人材不足があり、今年も景気回復の実感は乏しかった。こうした中でも、三河港で新たに開設された海外定期コンテナ航路などは地域経済に明るい材料となった。一方、広域連携では三遠南信サミットが豊橋市で開催され、8市町村でつくる東三河広域連合は地方創生の総合戦略作りを進めるなど、将来のこの地域の在り方を考える動きが進んだ。
三河港で上海・マニラ航路が開設され、6月1日、記念セレモニーが神野ふ頭に初寄港したコンテナ専用船で開かれた。既存の韓国、中国に加え、フィリピンとつながり、時間の短縮などから同港の利便性が向上、ビジネスチャンスが広がった。
一方、2015(平成27)年貿易額港別順位で三河港の自動車輸入は金額、台数とも23年連続で日本一となった。
同じ6月には、商工会議所や商工会でつくる東三河広域経済連合会が2日間の日程で豊橋市総合体育館を会場に「ものづくり博」を開催。90の企業、団体による過去最多の164ブースが並び、東三河地域のものづくりの魅力を紹介した。隔年で開いている。
豊橋の商業界に衝撃が走ったのはイトーヨーカドー豊橋店(藤沢町)の閉店。閉店日は来年1月9日で、38年の歴史に幕を下ろす。現在、閉店セールが行われている。
豊橋、豊川、蒲郡の三つの商工会議所は秋、議員の改選を迎えた。豊橋は神野吾郎氏、豊川は小野喜明氏を会頭とする新体制をスタートさせた。
また、次世代のエネルギーとして注目されている水素エネルギーの普及、拡大に向けた取り組みが、東三河でも動き出した。中部ガスは、本社のある豊橋市などに「移動式水素ステーション」を開所。水素を燃料とする燃料電池自動車(FCV)を豊橋市と市内の武蔵精密工業が導入した。
4月、電力小売完全自由化が始まり、中部ガスなどのサーラグループも参入した。
広域連携では、2月、県境を接する東三河、遠州、南信州3地域の一体的な振興について議論する「三遠南信サミット」(三遠南信地域連携ビジョン推進会議=SENA=主催)が豊橋市内で行われた。
新東名、リニア中央新幹線を踏まえ、三遠南信自動車道の早期全線開通や、地域に受け継がれる文化財の日本遺産登録、広域連合の実現などを目指すサミット宣言を採択し、同地域の創生へ踏み出した。
夏には、海に関わるイベント「海フェスタ東三河」が、豊橋市の三河港・神野地区をメイン会場に東三河8市町村で開催された。7月16~31日まで16日間で、来場者は目標の100万人を達成した。
また、東三河広域連合は、人口減少が始まった東三河の創生に向け、人口ビジョンと、その実現への総合戦略の策定を進めた。
(中村晋也)