自民党の根本幸典衆院議員(愛知15区)と、豊橋市選出の丹羽洋章、杉浦正和、中村竜彦の3県議は24日、東愛知新聞社を訪れ、原基修社長に対し、新型コロナウイルスワクチン接種の加速についての各自の取り組みを報告した。7月10日に豊橋市の大規模接種会場が開設されるが、そこに至る経過などについて詳細な説明があった。
現在の国内のワクチン接種回数は24日正午現在で3500万余回。1回目の接種を終えた人は国民の15%を、2回目は5%を超えた。すでに1回目と2回目の合計で一日100万回近い接種が続いている。
県内は、65歳以上で1回目のワクチン接種を済ませた人が23日現在で65・1%となっており、人口上位10都道府県の中ではトップ。政府が目標とする7月31日までの65歳以上の接種完了は十分、可能だ。
今後の課題は64歳以下の一般接種。国は市町村、県に対し最大限のサポートをしている。その一方で、豊橋のワクチンが近隣市に比べて遅いのでは、という指摘が市民から何度か寄せられたという。
このままでは、高齢者の2・5倍になる一般接種が始まった時に混乱が生じるのではないか。同党所属の議員は、それぞれが要請行動などを続けた。
大規模接種会場を東三河に開設し、個別接種や集団接種、職域接種と組み合わせて加速するのがベストだ。ただ、会場の医療従事者はどこから集めるか。豊橋市などが大規模接種会場開設に二の足を踏んでいたのは、財源と、「注射の打ち手」の不足にあった。
このため、根本氏が政府と交渉し、全面的な支援の約束を取り付けた。さらに、接種担当者は人材派遣会社を通じて確保し、地元の医療資源を傷めずに大規模接種が可能となったという。
根本氏は「東三河の人々に安心してもらえるよう、国、県、市に対し連携して総力で取り組んでいる」と述べた。
大規模接種会場の開設は、大村秀章知事の配慮も大きかった。6月2日に大村知事と面談した丹羽、杉浦、中村の各県議は説明する。
「大規模会場は必要だろ?」。開設の要望を言いよどんだ3人に、大村知事は水を向けたという。「お願いします」。話はまとまった。15日には新たに豊橋市中浜町の「マリエール豊橋」を活用することが報じられた。一日最大1000人規模での接種が進む。
3人が開設を積極的に求められなかったのは、豊橋市側の事情もあった。それが地域の医療資源の問題だった。
65歳以上の接種は、医師会と市が協力して進めている。市は、医療従事者に新たな負担が生じる結果になるのをおそれ、大規模接種会場を強く求めなかったのではないかと3人は推測する。
7月5日に開設する「バンテリンドームナゴヤ会場」(名古屋市東区)でも、医療関係者専門の人材派遣会社を通じ、ワクチン接種担当者を確保していた。3人が地元に負荷が生じないことを市に伝え、市側も納得したという。
ただ、マリエールは跡地の利用が決まっているため、接種会場として使える時間は限られている。そこで、大規模ワクチン接種会場として使用できる大きな空間のある施設を探している。また、今後の接種率を上げるには、働く人が受けやすい夜間や休日の接種、有給休暇の活用などの支援も必要だ。
原社長からは、大企業の体育館などを活用した接種会場確保などの提案があった。
【山田一晶】
大規模接種会場として7月10日に稼働するマリエール豊橋