小さな命を守る
蒲郡市で3日、自治会による地域猫の勉強会が開かれた。飼い主のいない猫(野良猫)が多いとされる同市で初めて。来週から「TNR」と呼ばれる活動を始める。捕獲器を仕掛け、猫を捕まえ、不妊・去勢手術をして、元の場所に戻す。住民と行政、ボランティアらが一体となって、不幸な猫を減らす。
勉強会を開いたのは「東松原常会」。地区の市民20人が出席した。市環境清掃課職員と、「がまごおり地域猫の会」が招かれた。
この会は、今年1月に市内で初めてできた。市の「まちづくり事業」に関する助成金を受け、猫の不妊・去勢手術を進めている。すでにある地区で30匹以上の猫を捕獲し、手術した。
活動の中心となっているのは市議の喚田孝博さんと、鈴木将浩さん。喚田さんは昨年12月、市議を対象とした地域猫勉強会を開催した。鈴木さんは市議会9月定例会の一般質問で地域猫の問題を取り上げている。
蒲郡市は猫の不妊・去勢手術に対する補助がない。また、これまで猫問題に取り組む団体がなかった。さらに、漁港がある地域の特徴として、外にいる猫に魚などの餌をやる習慣もある。都市部のような猫の室内飼いも定着していない。
観光地の竹島周辺や公園に多くの猫が捨てられ、ごみ箱を漁ったり、周辺の住宅でふん尿被害を出したりしている。市によると、年間30件の相談があるが、豊橋市の市民団体「ハーツ」には100件の相談が寄せられているという。
東松原地区には、複数の「餌やり」と呼ばれる人がいる。野良猫が20~30匹いるとみられる。
勉強会で、市職員が地域猫活動の内容について説明した。続けて地域猫の会からは、これまでの活動実績が報告され、東松原地区でも回覧板を回し、猫の捕獲と手術に乗り出す方針が示された。
常会出席者から「子猫を保護したら、どこに相談すればいいのか」「地域で猫を見守るとして、餌代の補助はないのか」などの質問が出た。地区内での地域猫活動に反対する人はいなかった。
喚田さんは「地域猫活動は『小さな命を守る』動物愛護の活動であるとともに、地域住民の生活環境を守ること。さらにはまちづくりにつながる」と活動の意義を説明している。
【山田一晶】
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「がまごおり地域猫の会」は会員を募集している。年会費は正会員が3000円、サポーターが1000円。さらに、猫の捕獲、病院への運搬などを手伝ってくれる人も求めている。猫の保護や引き取りはしていない。詳細はウェブサイト(https://gamaneko.com/)へ。