初代豊橋市長、大口喜六執筆の書

2022/07/13 00:00(公開)
大口喜六
大口喜六
豊橋市が寄贈受ける

 豊橋市は12日、初代市長の大口喜六(1870~1957年)が衆院議員時代に著した「戦時財政の進む道」(1942年)の寄贈を受けたと発表した。調べたところ、国立国会図書館と二つの大学にあるだけで、極めて珍しい資料という。
 大分県で歴史調査をしている個人から贈られた。縦18㌢、横12・5㌢、62㌻。「15セン(銭)」と印刷されている。保存程度は良好で、表に「鯛生産業株式会社」の印がある。国内最大の金鉱山だった「鯛生鉱山」を管理していた会社だ。
 発行元は大日本翼賛壮年団。1940年に既存政党が自発的に解散してできた「大政翼賛会」の関連組織という。「翼賛壮年叢書」の8番目で、他には東条英機内閣の商工大臣だった岸信介も執筆している。40以上のシリーズが出たらしい。
 豊橋町議、県議、市長を経て衆院議員を1912年から10期務めた大口は財政に明るかった。市長時代には陸軍第15師団を誘致し軍需産業による豊橋の発展を図ったほか、大蔵政務次官(27~29年)の経験もある。30年には浜口雄幸内閣の金解禁に反対し、全国を遊説したことも。
 大口は大政翼賛会の推薦議員だったため、本書の執筆を依頼されたらしい。議員になってからの動きが分かると同時に、戦時下の政治家が財政問題をどう考えていたかが分かる内容という。結びで「生産の増強と貯蓄の増進を実行することが大切である」と結論付けている。
 啓発本として多数印刷されたはずだが、ほとんど残っていない。「敗戦後、所蔵していた図書館が戦時色の強い内容のため、保存したがらなかったのでは」と図書館の岩瀬彰利主幹学芸員は推測する。
 市中央図書館は13日から、1階陶壁画前で本書のほか、図書館が所蔵する大口の著作や大口が寄贈した歴史資料を展示する。24日まで。その後は館内で閲覧できるようにする予定。
【山田一晶】
寄贈された大口の著作
寄贈された大口の著作
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