目指すはバーテンダー日本一

2022/10/07 00:00(公開)
常連客から贈られたジャケットで大会に臨む鈴木さん=バー「セントポーリア」で
常連客から贈られたジャケットで大会に臨む鈴木さん=バー「セントポーリア」で
豊橋「セントポーリア」の鈴木さん

 豊橋市駅前大通1でバー「セントポーリア」を営む鈴木良充さん(43)が、8日から名古屋市中区で開かれる「第49回全国バーテンダー技能競技大会」に出場する。新型コロナウイルスの影響で一時は休業も余儀なくされたが、「支えてくれたお客さんのために」と今夜もシェーカーを振り続ける。

 映画監督を目指し田原市内の高校を卒業後、1997年頃から映画制作の傍らバーでも働き始めた。都内や浜松市内のバー、豊橋市へ戻ってレストランでの修業を経て2007年開業。当初から大会には挑み続け、全国大会には15年を皮切りに昨年まで3回出場した。
 大会は9日までの2日間あり、酒類の知識などを問う「学科」や果物の切り分けと盛付けの技量を競う「フルーツカッティング」など4部門で審査する。3年ぶりに有観客で公開審査となるカクテル競技は「課題」「創作」の2種目がある。
 「課題」では同じカクテル(テキーラ・マンハッタン)を目分量で均等に5杯分作る。基本技術や正確さとともに姿勢や立ち居振る舞いなどの所作も審査対象となる。
 オリジナルカクテルを競う「創作」では鈴木さんは今回、ジンベースのカクテルで挑む。パッションフルーツや白桃のリキュール、レモンジュースなどとミントや薬草酒で風味付けした。
 広がるモモの香り、甘口だが少し苦味も残るさわやかな飲み口だ。「舐めるだけ」という審査員の舌に瞬間的なインパクトを与えるための工夫も凝らした。

 新型コロナの影響でこの2年間、度重なる休業や時短営業を余儀なくされた。店を開けない時期は実家の畑で野菜作りにも挑み、バー経営の糧にと農作業に励んだ。
 再開後は多く常連客が店に戻ってくれた。ある常連客のグループは資金を出し合い、大会用に白のジャケットを新調してくれた。
 今大会も優勝候補がひしめく東京・銀座勢に一矢報いたいと、カウンター越しにシェカーを振り続ける鈴木さん。「もう勝ち負けはどうでもいいといえる境地に達するまで勝負にこだわる」と意気込む。穏やかな口調で静かな闘志を燃やし、苦境を支えてくれた常連客を前に健闘を誓った。
 会場は「名古屋東急ホテル」、カクテル部門は一般観戦も可(税込み5000円)。   
【加藤広宣】
今大会で披露する創作カクテル「シャイン」
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コロナ禍を耐えて来店客との談笑も戻った店内
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