ユナイテッド・シネマ豊橋で舞台あいさつ
豊橋市に本店がある「久遠チョコレート」を題材にしたドキュメンタリー映画「チョコレートな人々」が全国で公開されている。3日、豊橋市藤沢町の「ユナイテッド・シネマ豊橋18」で、舞台あいさつがあった。
昨年1月に放映された東海テレビの同名番組を映画化した。久遠チョコレートの夏目浩次さんと、ともに働く多様な人々を、取材記者で監督の鈴木祐司さんが20年にわたって追った記録だ。
「温めれば何度でもやり直せる」を惹句に、さまざまな障害のある人と働く夏目さん。中には重い知的障害を抱える人もいる。障害で作業が難しいから雇わない、ではなく、障害があっても作業ができるように合わせていく。作中、夏目さんは語る。「シンプルな社会を作りたい。生まれ持った障害で選択肢が制限されるなんて、あまりにもナンセンスだ」
舞台あいさつには夏目さん、鈴木さん、プロデューサーの阿武野勝彦さんが登場した。阿武野さんは映画を見に来た人に謝辞を述べ、東海テレビのドキュメンタリー映画を豊橋で初上映できることを「豊橋の皆さんにあいさつできて幸せ」と喜んだ。
観客からの質問タイムが設けられ、夏目さんに多くの質問が寄せられた。久遠を立ち上げて良かったと思うか、という声には「日々いろいろなことが起きる。批判の声もあるが、悩まない人生よりいろいろな人と出会える。すごく豊かな人生で、良かったと思う」と語った。
事業を始めたときの心持ちを聞かれ、「思いは今も変わらない。シンプルな社会を作りたい。そのために真剣にもがいてみたい」と話した。鈴木さんとの20年の付き合いに「飾らない映画にしてもらった」と感謝した。
阿武野さんは障害者雇用を現代社会の大きな問題として「映画にすることで、今を記録し、未来で振り返ることができる」と語った。鈴木さんは取材を振り返って「楽しい職場環境があった。こうした取り組みが広がっていけば、優しい世界になる」と期待を寄せた。
【岸侑輝】