「セールス&カスタマーサービスコン」パーツ部門優勝
「三菱ふそうトラック・バス」が開催した今年度の「セールス&カスタマーサービスコンテスト」(11日)で、豊橋市下地町の「豊橋三菱ふそう自動車販売」から出場した野田智代さん(36)がパーツ部門で優勝した。半世紀の歴史のあるコンテストだが、女性が頂点に立つのは初の快挙という。野田さんは「女性スタッフの勇気につながってほしい」と話した。
乗用車と違い、トラックはほとんどがオーダーメードだ。車体もパーツもエンジンも幾通りもの組み合わせで成り立つ。そのため、客のニーズを正しくつかむ能力が求められる。
コンテストは国内の11販売会社から20チームが出場した。顧客満足度の向上を目指し、スタッフのスキルとモチベーションのアップを促す実践的なコンテスト。「新車営業」「サービス」「パーツ」の3部門があり、1チームは5人で構成。「サービス」「整備力」「提案力」の向上につなげることを目的に、1972年に第1回大会があった。2019年大会以降は新型コロナウイルス禍で中断していた。
野田さんが優勝したパーツ部門では学科の他に「ロールプレーイング競技」がある。来客役の注文する部品を見積もって金額を提示するだけでなく、質問に答え、本当に必要なものを分析し提案する。そのやり取りが審査される。
昨年11月に出場を知らされた野田さん。勤務後、自宅では家事などで時間がとれないため、コーヒーチェーン店などにタブレットを持ち込んで過去の大会の動画を見て研究を重ねたという。
大会前日におおまかな設定が伝えられる。「これは小型車だ」と判断して本番に臨んだが、実際は苦手な「中型車」。「終わった、と思いました」と笑う。だが、車検前のゴム製品の交換の必要性について、弁当箱を閉じるゴムも環境によって劣化する例え話をしたうえで「部品が劣化すると人の命にかかわる」と相手を説得する様子などが高評価された。
高校卒業後はさまざまな職に就いて、今の会社歴は6年ほど。大会には「部品一筋30年」という選手もいた。石川豊太郎社長は「相手が求めていることに対し、最適な言葉遣いで最適なものを提案できる能力がある」と高く評価する。
大会選手100人中、女性は2人だけだった。野田さんは「以前は『男に代わってくれ』『話の分かる人を出して』などと言われ、悔しい思いもした。男女に差がないことを周知したい」と語った。石川社長は「世の中には埋もれている女性がたくさんいる。会社として積極的に登用します」と話した。
【山田一晶】
コンテストの表彰式。中央が野田さん=川崎市で(提供)