LINEメッセージなどで「かしこまりました。」などと文末に句点がつくことに対し、若者が圧迫感を感じる「マルハラスメント(マルハラ)」が注目されている。愛知大学経営学部山田浩喜ゼミの「JAWS」と、キーボードアプリ「Simeji」を開発する「バイドゥ」は、こうした世代間のずれを解消させ、豊かなテキストコミュニケーションの実現を目指そうと、「マルハラをまぁるくプロジェクト」を始めた。現在は、オンラインコミュニケーションの意識調査に取り組んでいる。
「これお願いします!」は期待されているように思えるが「これお願いします。」だとまるで怒っているように感じる。若い世代にそんな意識が広がっている。3年の福永勝吾さん(21)もコンビニエンスストアのアルバイトで知り合った30代先輩に「マルハラ」を受けた経験があるという。「休憩中に趣味の話で盛り上がってLINE交換した。その後、楽しい話題でもメッセージ文末に『。』を付けて返信が来るのは違和感があった」と振り返る。
これに着目したのが福永さんの所属する山田ゼミの4人。昨年5月から10~60代の男女180人にLINEのコミュニケーションの仕方や絵文字の使い方などのアンケートを取り、課題や施策案をまとめた。その後「句点を付けることによるストレスは年代差がある」「未読・既読無視のストレスが強い」といった調査結果を学生との協働事例があった「バイドゥ」に提出し、返信を待った。
3カ月後の12月、Simeji運営責任者の古谷由宇さん(33)から「ぜひ一度話を聞きたい」と連絡があった。テキストコミュニケーションの課題を解決したいのは同社も同じだった。新型コロナウイルス禍でテレワークが急速に普及し、コミュニケーション手段としてビジネスチャットツールの導入が進んでいる。一方で、古谷さんは「話すようにチャットでやり取りできている会社ばかりではない。書き手の感情や状況を読み取る負担が大きくなっているのでは」と指摘する。
対面の場合は、相手との距離感や表情、状況を踏まえて会話できるが、チャットは文字でのやり取りで感情が伝わりづらい。加えて、メール文化の名残で「お世話になります」などのあいさつ文を使う会社や、絵文字やビックリマークは敬遠されがち。そこで、同社では昨年から入力やオンラインコミュニケーションの改善に力を入れていた。
数回のオンラインでの打ち合わせで、身近で注目されている「マルハラ」に着目し、今年2月に活動を始めた。第1弾として、「マルハラ」意識やオンラインコミュニケーションの課題について調査する。SNSやホームページなどでサービスの利用者やメンバーの知人らに呼び掛け、1万件以上の回答が集まっている。「20代よりも30代の方が気をつけていたり、10代でも存在を知らなかったり」と意外な結果も。
古谷さんは「マルハラは若者の間で話題になっているイメージだが、今は多くの人がオンラインでコミュニケーションを取る。アンケートを通じて当事者意識を持ってほしい」と期待する。
今後は、アンケートを続けながら、分析結果を元に全世代が共感できる表現や機能の開発に取り組む。3年の黒野梨心さん(21)は「対面と同じ感覚でやり取りできるよう、顔絵文字の意味や感情の詳細をキーボード上に表示させたり、顔のパーツを組み合わせて絵文字を作ったりする機能をつけるのも面白そう」と語った。
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1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。
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