南米への訪問を続けている豊橋市北山町の書道家浜野龍峰さん(65)の作品を集めた「日本を書く」が、アルゼンチン国立国会図書館で開かれている。書を通して日本の文化を伝える。12月12日までのロングランだ。
浜野さんは10年以上、南米を訪れ書の普及に力を入れている。アルゼンチンをはじめペルー、メキシコなどをたびたび訪問して、ワークショップやデモンストレーション、展示会を展開する。これまでにメキシコ市立バスコンセロス図書館、アルゼンチンの国立美術サロンなどで展示会を開催したこともある。
今回は、万葉集、方丈記、徒然草などを引用した作品を中心に約30点が並ぶ。「魂」「生死」など戦後80年を意識したものや、「宝」など子どもたちの大切さを伝えるものなども展示した。篆刻(てんこく)では、使った石も並べた。うち「魂」は「ム」をあえて書かず、戦争への小さな抗議の意味を込めた。
浜野さんは「文字は心を込めて書くから、打つ、タップするに変わり、SNSでは誹謗中傷が絶えることがない。数千年の時をかけて人々が作った文字が、人を傷つけ、時として死に追いやることに心が痛む。世界中の人々が心を込めて書くことを思い出してくれたなら、世の中が少しは良くなると思う」と話し、「今から1400年程前に編集された日本の歌や言葉を、世界中の人々が互いに尊重しあえる世の中になることを願い、さまざまな書体で書き上げました」と述べた。
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1973年生まれ、豊川市出身。建設業界に勤務後、96年に入社。2022年から豊川市を担当している。趣味は美術館巡り。ポッドキャストでラジオを聞くのも好きで、さまざまな番組を楽しんでいる。
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