豊橋市雲谷町の普門寺が、国や県指定の文化財を次世代へ引き継ぐため、文化財収蔵庫となっている仏像館の抜本的な再整備事業に着手した。築55年の現収蔵庫は、老朽化している。クラウドファンディング(CF)で資金の一部を補うとともに、多くの人の支援によって文化財を未来へつなぐ意義を訴えている。
同寺は727年(神亀4年)に聖武天皇の勅願により行基が開山したと伝わる。源頼朝や徳川家などの保護を受け、市内最多の文化財を所蔵する。国指定重要文化財の仏像6体をはじめ、貴重な寺宝を守ってきた。「豊橋のもみじ寺」として広く親しまれている。
現収蔵庫は1970年、東大寺正倉院などでも使われている高床式構造を参考に造られたが、これが現行の耐震基準を満たしていない。能登半島地震では同様の構造を持つ収蔵庫が倒壊した事例もあり、補強が急務となっている。
温湿度管理の機能が十分でないことも大きな課題だ。高床下の空間と換気扇を利用した自然換気方式のため、細やかな調整が効きにくい。扉を開けると外気が直接庫内に流れ込んでしまう構造のため、仏像や古文書をカビや害虫から守るためには常時公開ができなかった。整理しきれない古文書も多く、スペース不足の問題も抱えている。
今回の再整備計画では、これらの問題を一挙に解決する。耐震性強化のため、高床式の床下空間と柱間をコンクリートで埋めるなどして構造的な強化を図る。経年で酸性化したコンクリート外壁を修復し、べんがら色に塗ることで酸性化を抑え景観も整える。
温湿度管理は、既存棟の前に外気を遮断する風除室や前室を増築し、仏像を安置している庫内には専用空調を導入することで、年間を通じて適正湿度を保てるようにする。
こうして、常時拝観可能な公開活用型の収蔵庫に改める。鑑賞性向上のため展示台や解説パネル、展示照明などの展示設備を一新し、防火・防犯設備も整える。仏像を置く舞台にも免震装置を取り付ける。
25日の午後1時から再整備事業の説明会がある。改修工事は2026年2月から27年1月までを予定し、同10月までを環境確認の期間としている。一般公開は同11月のもみじ祭りから。
総事業費は約1億9000万円で、国や県からの補助を入れても約1億1000万円は寺の負担となる。CFは700万円が目標。返礼品は拝観券や先代住職手製の切り絵御朱印限定デザイン、住職が案内する特別ツアー参加権など。CFサイト「READYFOR」や寺で受け付ける。12月16日まで。
林義将住職は「文化財は寺だけのものではなく、地域や国の宝であり、皆で守るという意識を高めたい」と述べた。
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1988年生まれ。三重県津市出身。
地元で数年間地域紙の記者を務めた後、某ゲーム会社で企画の仕事などを経験。新型コロナウイルス禍で紆余曲折あって豊橋市で再び地域紙の記者に。地域の人に地域の良いニュースを伝えたい。
趣味は一口に言うとゲーム。著名なタイトルをすべて網羅しているわけではないが、コンシューマーはファミコン時代から「ドラゴンクエスト」などを親しんでいる。ジャンルは問わず、環境としてはオンライン、カード、ボード、テーブルトークなど手広くプレーしている。
好きなものは甘いもの。犬派。写真は実家の猫。
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