蒲郡市大塚町の介護施設「デイサービス大倖」は、特徴的かつ先進的な取り組みをした県内の事業者を表彰する「第9回あいち介護サービス大賞」(県など主催)に選ばれた。職員の自己肯定感を高める30の行動をまとめた「自己肯定感UP習慣リスト」の取り組みが評価された。
デイサービス大倖は2020年に、市内で飲食業を手掛ける「水車」が開設した。日々、職員9人が利用者計30人に寄り添いながら、過ごしやすい施設運営に努めている。また、施設長で水車社長の増山大祐さんは、積極的に職員と面談し、疲れや悩みの相談に対応。離職率は開所以来、ほぼゼロを維持している。
この中で「介護の質を高める前に、まず働く人の心を満たすことが大切だ」と考えた増山さん。職員同士が支え合い、自然と自己成長が促される職場環境にするためには、「自己肯定感」が必要だと感じた。そこで、取り組んできた「利用者の話を最後まで聞く」「他人の良いところを伝える」「自分に『おつかれさま』と言う」など30の行動を、職員同士で情報共有できるようリスト化した。
習慣リストは30項を「気づき」「声かけ」「自己分析」の三つの視点に分類。業務終了後に、1日の行動やネガティブ、ポジティブな場面を振り返る。実践した結果、「感謝の気持ち」が職員間や利用者との間で倍増したほか、学び合い、認め合う風土が定着し、利用者の意欲や笑顔が増えているという。
「第9回あいち介護サービス大賞」は、増山さんが市内外の多くの事業者に紹介しようと考え、「福祉評価推進事業団」に応募し選出された。10月には大賞に選ばれた7事業者とともに、名古屋市であった先進事例発表会に出席し、来場者に具体的な取り組みや介護現場の現状などを伝えた。
現在、デイサービス大倖では「介護で困る人を減らしたい」との思いから、現場に注力できるシステムを蒲郡市内の事業者と開発している。増山さんは「地域の介護を良くするため、仲間を探しています。一緒に利用者と向き合う環境を作っていきたい」と話した。
購読残数: / 本
愛知県蒲郡市生まれ。2020年、地元蒲郡が好きで東愛知新聞社に入社。同年から蒲郡担当、市政や地域行事、文化など全般を取材。ドローンを使って東三河の名所を空撮したルポ「大二朗記者の空からの訪問」を不定期連載。これまで、三河大島や三河国分尼寺跡、日出の石門などを空撮してきた。ドローン技術向上のため、国家資格「一等無人航空機操縦士」を24年に取得。読者の皆さんが楽しんでもらえる記事と記憶に残る写真を掲載できるよう、日々、頑張っていきます。
週間ランキング
日付で探す