自律走行型搬送ロボット「AMUA(アムア)」が慢性期を中心とした入院専門療養型の赤岩病院(豊橋市多米町)に導入された。療養型病院での導入は国内初。深刻な人手不足が課題となる医療現場で、ロボットを活用した業務効率化と看護師の負担軽減への期待が高まっている。
「フォーン」と警告音を鳴らしながら、高さ約1㍍20㌢、幅約50㌢の白い縦型のロボットが時速2㌔で3㍍幅の通路を行き来する。センサーで人や障害物を避けている。エレベーターにも人間と一緒に乗降可能だ。看護師や職員が検体や処方箋、薬剤などを積み込み、本体正面の液晶パネルで行き先を選択すると、事前に保存したマップを元に、自動走行で次の目的地に向かっていった。
7病棟411床を有する同院では、昨年12月から本格的な運用を始めた。従来、4階の病棟から1階の薬局や医事課への物品搬送は看護師が担っており、往復の移動と物品引き渡しの待機に1回平均7分を要していた。こうした移動は1日平均17回に及び、看護業務の中断や残業増加の要因となっていた。AMUAが1日11回の定期巡回搬送を代行することで、看護師が本来の業務に専念できる環境を整えた。
ロボットはシンフォニアエンジニアリングとグループ企業のシンフォニアテクノロジーが開発し、2023年から同院で実証実験を重ねてきた。藤田医科大学病院(豊明市)のような急性期病院での導入例はあるが、療養型病院でバックヤード以外の院内を自律走行する事例は全国初という。
シンフォニアエンジニアリングの担当の松木茂也さんは「わずかな接触が重大事故につながるため、安全性を徹底追求した」と話す。足元の障害物検知技術を高め、死角を最小限に抑えて急停止も可能にした。赤澤貴洋院長自らが走行中のロボットに当たり、身をもって安全性を確認したという。
導入の障壁だった既存設備との連携も工夫した。大規模改修を避け、コストを大幅に削減した。例えば、エレベーターのボタンに設置した「スマートスイッチ」を介してロボットが階数を感知する仕組みを構築したほか、ロボットが声で案内を出して患者と譲り合い、相乗りする一面もある。
導入後の調査では、看護師から「ナースコールに早く対応できるようになった」「インシデントが減った」「昼休みが以前より取れるようになった」など肯定的な評価が相次いでいる。患者が「AMUAちゃん」と呼び親しむ場面もあり、認知症ケアへの一助となる可能性も示唆されている。
同社によると、今後は夜間の見守り巡回やバイタルデータの遠隔確認、対話機能の開発なども視野に入れる。昨年、赤澤院長が日本病院学会で発表すると大きな反響を呼んだ。さらに導入後の数カ月間で看護師の応募数が従来の3倍に急増したという。赤澤院長は「ロボットへの期待は大きい。実際に労務軽減や病院のイメージ向上につながっている」と手応えを語った。
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1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。
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