能登被災者の心癒やす「ピレーネ」

2024/03/26 00:01(公開)
ピレーネを無償で届ける鵜飼さん(手前左)=珠洲市社会福祉協議会で(提供)
 能登半島地震で被災した石川県の避難所で、豊橋市の人気スイーツ「ピレーネ」が被災者の癒やしに一役買っている。豊橋市内で屋根工事業を営む鵜飼知洋さんが、被災地での声をもとに「避難所暮らしにも食の娯楽を」と無償で支援を買って出た。地元の菓子店の営業再開まで自費での提供を続け、賛同する仲間も募っている。
 鵜飼さんは2月から珠洲市や輪島市などで被災住宅の復旧に携わり、避難所の被災者とも交流する機会があった。避難所暮らしでは被災者のプライバシーが限られ、ストレスが積もる要因にもなっているという。
 避難所の暮らしぶりについて鵜飼さんは「生きるための食事で精いっぱいだと思う。甘い物が欲しいなどと言い出しづらいのではないか。娯楽も少なく、食で被災者を癒やせないかと考えた」と経緯を説明した。
 被災地と豊橋を往復する中、手はじめにピレーネを50個購入。地元の社会福祉協議会を通じ避難所へ届けたところ年齢や性別を問わず好評だったという。今月10日に100個を届けるため注文すると、製造販売元「ボンとらや」(羽田町)の佐藤昌也社長から無償提供の申し入れがあった。
 たっぷりのクリームを柔らかなスポンジで包んだピレーネは、平日でも一日3000個以上を売るご当地スイーツだ。豊橋土産物の定番としての知名度も誇る。
 提供されたピレーネは輪島市や穴水町を含む3市町の5カ所の避難所へ届いた。鵜飼さんは「女性は甘い物が好きな人が多く、涙を浮かべて喜ぶ人もいた。体が甘い物を求めてもぜいたく品だと声を押し殺しがち。この状況を早く改善してほしい」と復興を願った。
 ボンとらやの佐藤社長は「避難所での生活は嗜好品を楽しむ心の余裕すらないと聞いた。被災者の食の娯楽の一助にピレーネが選ばれたのは光栄だ」と受け止めた。
 能登半島地震の被災地では破損した水道管の修復が進まず、菓子店なども復旧の見通しは立っていない。鵜飼さんは今後も不定期だが、現地の菓子店が営業再開するまで無償提供を続ける。次回は飲食店主の知人と100個を届ける予定。さらに支援の輪を広げる仲間も募っている。問い合わせは、鵜飼さん携帯(080・5106・5375)へ。
【加藤広宣】
避難所で好評だった豊橋の人気スイーツ「ピレーネ」=ボンとらや本店で
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