絵画の配色、好みにも普遍性

2022/04/15 00:00(公開)
色相回転で配色操作した日本画の画像データ。一番上が原画(提供)
色相回転で配色操作した日本画の画像データ。一番上が原画(提供)
豊橋技科大の研究グループ調査

 豊橋技術科学大学の中内茂樹教授(情報・知能工学系)らの研究グループは、絵画の配色の好みにも普遍性がある点を明らかにした。同じ絵画を基に色使いを変える実験では、文化圏や教育歴などに関係なく好みの傾向はおおむね一致した。中内教授は「作家の個性以外にも、配色が与える科学的な影響を考える余地ができた」と説く。

 ポルトガルのミーニョ大学と共同研究。両国の130人に絵画の配色について好みを尋ねた。参加者は国籍や文化的背景が異なり、芸術や美術の教育を受けていない。
 画像データは構図や明度を変えず、平均色をデータにして回転させながら色を差し替える「色相回転」と呼ばれる操作をした。鑑賞用絵画は日本画と西洋画(抽象画含む)の計40点。両国の美術館の収蔵品とインターネット画廊で入手しデータ化した。参加者は色相回転でできた原画を含む四つの配色が異なる絵画を観賞、好みを選んだ。
 豊橋市美術博物館は地元出身の中村正義(故人)の「花」(1962年頃)を提供した。原画では赤系統でまとまった花びら、緑の茎や葉の配色が、色相回転で徐々に変わっていく。
 実験で、一度も見たことがない絵画を含め約70%の参加者が原画の配色を好むことがわかった。特定の色と結び付けやすいものがない抽象画でも同じような結果だったという。
 今後はSNSの「ばえる」写真、衣服や部屋の内装などの意思決定に及ぼす影響のほか、音の配置への応用にも研究領域を広げる考えだ。
【加藤広宣】
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